▶ 大動脈とその枝(模式図)

大動脈の基本構造

  • 大動脈は以下の順に続く:
    1. 上行大動脈:心臓から出たばかりの部分。左右の冠状動脈が出る。
    2. 大動脈弓:胸骨柄の後ろで左後方へ曲がる部分。
    3. 下行大動脈:胸大動脈と腹大動脈からなる。
  • 横隔膜:胸大動脈と腹大動脈の境目。

大動脈弓の分岐

  • 腕頭動脈:右総頚動脈と右鎖骨下動脈へ分岐。
  • 左総頚動脈
  • 左鎖骨下動脈

胸大動脈の分岐

  • 壁側枝(有対性)
    • 肋間動脈:第3肋間動脈から出る。
    • 上横隔動脈:横隔膜上面を養う。
  • 臓側枝(無対性)
    • 気管支動脈:気管や気管支、肺に分布。
    • 食道動脈:食道を栄養。

腹大動脈の分岐

  • 壁側枝(有対性)
    • 下横隔動脈:横隔膜の下面を養う。
    • 腰動脈:4対あり、腰の筋や側腹筋、前腹筋に分布。
  • 臓側枝
    • 消化器系(無対性)
      • 腹腔動脈:左胃動脈、脾動脈、総肝動脈に分岐。
      • 上腸間膜動脈:小腸から結腸前半部に分布。
      • 下腸間膜動脈:結腸後半部から直腸上部に分布。
    • 泌尿生殖器系(有対性)
      • 腎動脈:腎臓を栄養。
      • 精巣・卵巣動脈:腹大動脈の直接の枝。

特記事項

  • 精巣・卵巣動脈:胎生期に腎臓の下に発生し、成長とともに下行。直接腹大動脈から分岐する点が重要。

 

▶ 大動脈の全体像 前面

確認ポイント

  • 胸大動脈胸椎の左側を下行
  • 腹大動脈腰椎の前面を下行
  • 腹腔動脈などの前にでるものは対を成さない
  • 腎動脈など左右にでるものは対を成す

4対の腰動脈は、それぞれ第1〜第4腰椎の前面より、大腰筋の後面に入り込んでいきます。また、右の腰動脈はすべて前面を下大静脈が覆います。

 

▶ 大動脈の全体像 側面(壁側枝を中心として)

この図は側面から見たものです。ここでは肋間動脈と内胸動脈の前肋間枝の関係性について抑えておくと良いでしょう。

  • 肋間動脈:
    • 胸大動脈の壁側枝として、左右に分岐。(第3肋間動脈〜)
      • 第1・第2肋間動脈は鎖骨下動脈 → 肋頚動脈 → 最上肋間動脈の枝。
    • 肋間部を後ろから前に走行。
  • 内胸動脈の前肋間枝:
    • 鎖骨下動脈の枝。
    • 肋間を前から後ろに走行。
    • 側胸部で肋間動脈と吻合。
  • 内胸動脈の走行:
    • 腹壁に入ると上腹壁動脈になる。
    • 上腹壁動脈は外腸骨動脈の枝である下腹壁動脈と吻合。

▶ 大動脈と骨格 後面より

こちらは大動脈の後面から見た図です。脊柱は取り除かれ、胸郭や寛骨が残されて位置関係を把握できるようになっています。

  • 肋間動脈と腰動脈:
    • 大動脈の後面から左右別々に分岐する。
  • 腹大動脈の終点:
    • 第4腰椎の高さで左右の総腸骨動脈に分かれる。
  • ヤコビー線:
    • 左右の腸骨稜の最も高い部分を結んだ線。
    • およそ第4腰椎の高さに相当する。