論文紹介:Effects of electroacupuncture at ST25 and BL25 in a Sennae-induced rat model of diarrhoea-predominant irritable bowel syndrome「Sennae誘発下痢優勢型過敏性腸症候群モデルラットにおけるST25およびBL25への電気鍼治療の効果」

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引用論文

Zhu, X., Liu, Z., Niu, W., Wang, Y., Zhang, A., Qu, H., Zhou, J., Bai, L., Yang, Y., & Li, J. (2017). Effects of electroacupuncture at ST25 and BL25 in a Sennae-induced rat model of diarrhoea-predominant irritable bowel syndrome. Acupuncture in Medicine, 35(3), 216–223. https://doi.org/10.1136/acupmed-2016-011180

Effects of electroacupuncture at ST25 and BL25 in a Sennae-induced rat model of diarrhoea-predominant irritable bowel syndrome
「Sennae誘発下痢優勢型過敏性腸症候群モデルラットにおけるST25およびBL25への電気鍼治療の効果」

研究背景と目的

過敏性腸症候群(IBS)のうち、下痢優勢型(IBS-D)は腹痛や頻回の下痢を主症状とし、患者のQOLを著しく低下させる。腸管からのセロトニン(5-HT)過剰放出が蠕動亢進や分泌亢進を引き起こし、IBS-Dの病態に深く関与することが知られる。鍼刺激は経絡を介して自律神経やセロトニン代謝酵素(TPH)の発現を調節し得ることから、本研究ではSennae(センナ葉)でIBS-Dモデルを作成したラットを用い、ST25(天枢)、BL25(大腸兪)に電気鍼(electroacupuncture:EA)を施すことで、①下痢症状、②腸管運動、③腸内クロマフィン細胞数、④TPH発現、⑤糞便・結腸内5-HT含量に及ぼす効果を検証し、その作用機序を探索することを目的とした。

実験デザインと手法

  1. モデル樹立:Sprague-Dawleyラット24匹に対しFolium Sennaeを経口投与し、IBS-Dモデルを作成。

  2. 群分け

    • 健康対照群(n=6)

    • 未治療IBS-D群(n=6)

    • ST25単穴EA群(n=6)

    • BL25単穴EA群(n=6)

    • ST25+BL25併用EA群(n=6)

  3. EA施術条件:一回30分、周波数2/15 Hz交互、電流強度1 mAで針通電。使用した経穴は英略記併記で以下。

  4. 評価項目

    • 緩便率(排便量/投与量)および小腸通過率(色素追跡法)

    • 結腸組織中のクロマフィン(EC)細胞数(免疫組織化学)

    • 結腸TPHタンパク質発現(Western blot)

    • 糞便および結腸組織中の5-HT含量(ELISA)

主な結果

  • 下痢症状の改善:未治療IBS-D群では緩便率と小腸通過率が対照群比で有意に増加(p<0.05)。ST25群・BL25群でもそれぞれ有意改善が見られ、特にST25+BL25群で最も顕著な抑制効果を示した。

  • EC細胞数の抑制:未治療IBS-D群においてEC細胞が増加。EA処理群では全群で有意に減少、両穴併用群が最も効果的であった。

  • TPH発現の正常化:IBS-D群で亢進していた結腸TPH発現が、単穴EA群で中等度に、併用EA群で健常群に近いレベルまで低下した。

  • セロトニン(5-HT)濃度の調整:糞便および結腸内5-HT含量はIBS-D群で高値を示したが、EA群で有意に低下。ST25+BL25併用群で最も強い抑制が認められた。

作用機序の考察

  1. 穴位ごとの機能分化

    • ST25(天枢):腹部正中で結腸運動の調節に深く関与。EA刺激により腸管平滑筋の過剰蠕動を抑制し、小腸通過の正常化に寄与。

    • BL25(大腸兪):腰部に位置し、大腸に直接的な神経支配を有する。EAにより腸管分泌亢進を抑え、クロマフィン細胞の活動抑制を介して5-HTの過剰産生を是正。

  2. 神経内分泌調節

    EAは交感神経‐副交感神経バランスを改善し、TPH発現を制御することでセロトニン合成を正常化。これにより、5-HTによる蠕動促進と分泌亢進が抑制され、下痢症状が緩和されたと考えられる。

  3. 相乗効果

    単独穴位刺激でも一定の効果を示したが、腹部(ST25)と腰部(BL25)の経路を組み合わせることで、運動性と分泌性両者の調節が同時に行われ、シナジー効果が得られた。

臨床的インプリケーションと今後の課題

  • 臨床応用:IBS-D患者に対し、ST25+BL25へのEAを2~4週間継続するプロトコルは安全かつ有効性が期待できる。

  • 最適化の必要性:周波数、強度、施術頻度の最適化検討および長期フォローアップによる再発予防効果の検証が必要。

  • 多施設共同RCT:動物実験から得られた基礎知見を踏まえ、人を対象とした二重盲検ランダム化比較試験により、エビデンスレベルを向上させることが喫緊の課題である。

使用経穴

  • ST25(天枢)

  • BL25(大腸兪)

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忘却曲線に基づいて復習タイミングが自動で最適化され、
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■ 何故、Ankiは学習効率が高いのか

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ここでは、Ankiのシステムを使った「経穴リスニング暗記帳」が何故、学習効率が高いのかについて説明いたします。

– Ankiによる自動復習機能(分散学習)

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忘れる前に、Ankiが思い出させてくれる。

Ankiは、記憶の心理学的メカニズム――特にエビングハウスの忘却曲線の研究に基づき、「最適な復習タイミング」を自動で提示するシステムを備えています。

これにより、学習内容を忘れかけた絶妙なタイミングで再提示し、記憶を強化。最終的には長期記憶として定着させることが可能です。

  1. 復習しないと忘却が進行
    → 時間とともに記憶は薄れていきます。

  2. Ankiが復習を促す
    → 忘れる前の最適なタイミングでカードが再提示されます。

  3. 記憶が強化される
    → 復習によって脳内ネットワークが再活性化され、記憶が深まります。

  4. 記憶が定着する
    → 繰り返しにより、長期的な知識として安定的に保持されます。

このような間隔反復(Spaced Repetition)の仕組みは、短期記憶のまま消えていくのを防ぎ、効率的で持続性のある学習を実現します。

🔺 最適な復習タイミングが、記憶の定着を飛躍的に高める。

– 能動的想起(テスト効果)による記憶の強化

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能動的想起(アクティブリコール)による記憶の強化

ただ教科書を読むだけの「受動的学習」では、情報はなかなか定着しません。
一方で、学んだ内容を自分の頭で思い出そうとする「能動的学習」では、記憶の定着率が格段に向上することが、数多くの心理学的研究で示されています。

この「思い出そうとする行為」そのものが脳内の記憶経路を再活性化し、情報へのアクセスを強化します。その結果、より強固で思い出しやすい記憶が形成されるのです。

左側:受動的学習(教科書を読むだけ) → 記憶の定着は限定的
右側:能動的学習(思い出そうとする) → 記憶の定着が飛躍的にアップ

🔴 記憶は「入力」ではなく「出力」によって強化される。

Ankiなどのテスト形式の学習ツールは、まさにこの能動的想起(Active Recall)の原理を活かした方法であり、記憶の強化に極めて効果的です。

– 複数の感覚を使うと、記憶はもっと強くなる

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マルチモーダル学習による記憶定着の向上

記憶をより深く、強く定着させるには、視覚だけに頼るのではなく、複数の感覚を同時に使う「マルチモーダル学習」が効果的です。

  • 👁 視覚情報:文字・図を見て学ぶ

  • 👂 聴覚情報:音声を聞いて学ぶ

  • 触覚情報:実際に身体に触れ、感覚を伴って学ぶ

これらの異なる感覚情報が脳内で統合されることで、記憶のネットワークが多層的に構築され、忘れにくくなるのです。

特に経穴の学習においては、
「見る」+「聴く」+「触れる」という三感覚の連携が極めて有効。

🔷 マルチモーダル学習で、記憶が深く刻まれる。
→ 経穴の学習には「見る」「聴く」「触れる」が鍵。

– 二重符号化理論 – 記憶のバックアップを作る

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二重符号化理論(Dual-Coding Theory)
― 記憶のバックアップを作る学び方 ―

学習した情報を視覚(文字·図)と聴覚(音声)の2つの経路で同時に取り入れることで、記憶の定着が強化されるという理論が「二重符号化理論(Dual-Coding Theory)」です。

👁 視覚情報(文字・図)
👂 聴覚情報(音声)

これらは脳内で別々のチャンネルとして処理·保存されるため、どちらか一方の記憶が弱まっても、もう一方から補完され、思い出しやすくなるという利点があります。

たとえば、音を忘れても文字を見れば思い出せる。
または、文字を忘れても音を聞けば思い出せる。

📌 文字と音声の両方で学ぶことで、記憶が二重に保存される。
つまり、記憶にバックアップが作られるような状態が生まれ、忘れにくくなるのです。

– 声に出して覚えると、記憶はもっと深く残る

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― 生成効果(Production Effect)とは ―

単に「読む」「聞く」といった受動的な学習に比べて、自分の声で情報を発する=生成する(能動的学習)ことで、記憶の定着率は大幅に向上します。

この現象は、生成効果(Production Effect)と呼ばれ、心理学的にも広く研究されています。

📖👂 読む·聞く(受動的)
→ 情報は一方的に入力されるが、記憶への定着は弱い。
🗣🧠 声に出す(能動的)
→ 自らの言葉で発することで、脳内の記憶回路が活性化。
→ 記憶の痕跡が強く、深く刻まれる。

このように、音読やシャドーイングのような声に出す学習は、
単なる受け身の学習を超えて、脳に「刻み込む」記憶法へと変わります。

🔷 声に出す(=情報を生成する)ことが、記憶を深く定着させる鍵。

– 声に出すことは、優れた運動感覚学習となる
〜 シャドーイングは脳と身体をフルに使う記憶術 〜

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シャドーイングとは、聞いた音声をすぐに繰り返して発音する学習法です。

この方法には、単なる「耳で聞く学習」を超えた、運動感覚学習(Kinesthetic Learning)の効果があります。

なぜ記憶が深くなるのか?

  1. 発声(motor)
    → 口や喉などの運動器官を使い、声に出して情報を「体で再現」。

  2. 聴覚モニタリング(sensory)
    → 自分の発した声が耳から入り、自分の聴覚を再び刺激。

  3. 脳内でのフィードバック修正
    → 発声→聴取→修正のサイクルが脳内で繰り返されることで、運動感覚と知覚の統合が起こり、記憶がより強固になります。

  4. 体性感覚の追加モダリティ
    → 経穴名などの抽象的な情報が、「自分の声を出した感覚」と結びつき、身体に刻まれる。

•  目で見て、耳で聴いて、口で言う
• 「口が覚えている」=身体で覚えている

🔷 シャドーイングは、脳と身体を統合して使う、最強の記憶術。
抽象知識を身体的な感覚とつなげることで、記憶は格段に深まります。

Ankiを最大限に活かす鍵は、カードの“質”にある
― 効果的な学習のためには、高品質なカードが必要 ―

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Ankiは非常に優れた学習ツールですが、本当に効果を発揮するには「カードの質」が重要です。

しかし、多くの人にとって
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Ankiは「道具」、でも記憶に残すのは「カードの質」
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