論文紹介:Efficacy Observation on Jin’s Three-Needle Therapy for Allergic Rhinitis of Lung Qi Deficiency and Cold Syndrome ― 肺気虚・寒証アレルギー性鼻炎に対する晋三針療法の有効性観察

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引用論文

Ou, W.-X., Luo, Q.-Y., Lin, Q.-M., Lin, X.-H., Cao, Y.-M., Ma, X.-W., Kuang, J.-C., & She, X.-Y. (2014). Efficacy observation on Jin’s three-needle therapy for allergic rhinitis of lung qi deficiency and cold syndrome [晋三针疗法治疗肺气虚寒证过敏性鼻炎疗效观察]. Zhongguo Zhen Jiu (Chinese Acupuncture & Moxibustion), 34(5), 445–448. PMID: 25022113 


Efficacy Observation on Jin’s Three-Needle Therapy for Allergic Rhinitis of Lung Qi Deficiency and Cold Syndrome
― 肺気虚・寒証アレルギー性鼻炎に対する晋三針療法の有効性観察

1. 研究目的および背景

アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻症状を主徴とし、季節性・通年性を問わずQOLを著しく低下させる疾患です。中医学では、肺は「気を主る」臓腑とされ、肺気が不足すると鼻腔の宣発粛降機能が低下し、外邪(風寒や風熱)の侵入を許しやすくなります。特に「肺気虚・寒証型」は、鼻水が粘稠性に乏しく透明で多量、寒気に悪化する特徴を示し、欧米薬物療法のみでは十分な改善を得られない症例も少なくありませんでした。本研究の目的は、晋三針(三つの中心的経穴を組み合わせた鍼法)を用いて、肺気虚・寒証型アレルギー性鼻炎の臨床効果を、西洋薬(デスロラタジン)と比較検討することにあります 

2. 対象と方法

  • 症例選定

    2012~2013年に外来を受診した肺気虚・寒証型アレルギー性鼻炎患者66例を、鍼治療群(33例)と西洋薬群(33例)に無作為割付。全例にARの症状スコアと身体所見スコアを施行前後で比較した 

  • 中医証型の判定基準

    肺気虚:息切れ、声音微弱、易倦怠。

    寒証:頭痛冷感、鼻水清稀。

  • 治療法

    • 鍼治療群:

      • 三鼻点(鼻根部周辺の局所穴)

        • 迎香 (LI 20): 鼻翼外側、鼻唇溝上。

        • 上迎香 (EX-HN 8): 鼻根部、印堂より少し上方。

        • 印堂 (GV 29): 両眉頭中央。

        • ※前頭痛例には追加で 攢竹 (BL 2) を併用。

      • 三背点(肺の募穴・募合穴とされる遠隔穴)

        • 大杼 (BL 11): 第1胸椎棘突起下、左右約1.5寸。

        • 風門 (BL 12): 第2胸椎棘突起下。

        • 肺俞 (BL 13): 第3胸椎棘突起下。

      • 治療周期:1日1回、10回を1コースとし、計2コース(20回)実施。

    • 西洋薬群:

      • デスロラタジン経口懸濁液 5 mg/日、20日間服用 

  • 評価項目

    • 主観的症状スコア(くしゃみ・鼻漏・鼻づまり)

    • 身体所見スコア(鼻粘膜の蒼白・浮腫)

    • 総合有効率(【回復】+【顕効】+【有効】の割合)

    • 安全性(副作用の有無) 

3. 臨床成績

  • 有効率の比較

    • 鍼治療群:93.9 %(31/33例)が有効(回復+顕効+有効)を示し、西洋薬群72.7 %を有意に上回った(P < 0.05) 

  • 症状・所見スコアの改善

    • くしゃみ・鼻漏・鼻づまりの平均スコア、および鼻粘膜の蒼白と浮腫スコアは、両群とも治療後に有意減少した(P < 0.01)が、鍼治療群の低下幅が西洋薬群よりも大きかった(症状スコア:4.70 ± 2.07 vs. 6.55 ± 2.69、所見スコア:0.85 ± 0.67 vs. 1.45 ± 0.62、総合スコア:5.36 ± 2.70 vs. 8.00 ± 2.91、すべてP < 0.01) 

  • 副作用

    • 鍼治療群:軽度の出血・圧痛が一過性に認められたが、重大な有害事象はなし。

    • 西洋薬群:軽度の口渇・眠気が報告されたものの、投薬継続に支障なし 

4. 考察およびメカニズム的展望

  • 経穴選択の根拠

    • 三鼻点は局所刺激により鼻粘膜の血流改善と神経調節を、三背点は肺の宣発粛降機能を高め、全身の気機を調和するとされる 

  • 免疫学的視点

    鍼刺激は局所における神経-免疫相互作用を介して、ヒスタミンやロイコトリエンなどのアレルギー性メディエーター放出を抑制し、Th1/Th2バランスをTh1寄りにシフトさせる可能性が示唆されている。他研究では、GV14やBL13への鍼がIgE産生低下や好酸球浸潤抑制に寄与することが報告されており、本研究の臨床成績とも整合的です 

  • 冷証改善の観点

    肺気虚・寒証型では体表の防御機能が低下しており、鍼刺激による体内陽気の補充(温経散寒)が寒邪排除を助け、粘膜バリアを強化すると考えられます 

5. 臨床的含意と今後の展開

晋三針療法は、アレルギー性鼻炎において西洋薬単独と比較して高い有効率と症状改善を示し、副作用も軽度であることから、肺気虚・寒証型AR患者の補完代替医療として有用であると考えられます。今後は、治療効果の持続性を検証する長期フォローアップ研究や、各種免疫マーカーを用いたメカニズム解明が期待されます 


使用経穴

  • 迎香 (LI 20)

  • 上迎香 (EX-HN 8)

  • 印堂 (GV 29)

  • 攢竹 (BL 2) ※前頭痛時追加

  • 大杼 (BL 11)

  • 風門 (BL 12)

  • 肺俞 (BL 13) 

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■ 何故、Ankiは学習効率が高いのか

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ここでは、Ankiのシステムを使った「経穴リスニング暗記帳」が何故、学習効率が高いのかについて説明いたします。

– Ankiによる自動復習機能(分散学習)

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忘れる前に、Ankiが思い出させてくれる。

Ankiは、記憶の心理学的メカニズム――特にエビングハウスの忘却曲線の研究に基づき、「最適な復習タイミング」を自動で提示するシステムを備えています。

これにより、学習内容を忘れかけた絶妙なタイミングで再提示し、記憶を強化。最終的には長期記憶として定着させることが可能です。

  1. 復習しないと忘却が進行
    → 時間とともに記憶は薄れていきます。

  2. Ankiが復習を促す
    → 忘れる前の最適なタイミングでカードが再提示されます。

  3. 記憶が強化される
    → 復習によって脳内ネットワークが再活性化され、記憶が深まります。

  4. 記憶が定着する
    → 繰り返しにより、長期的な知識として安定的に保持されます。

このような間隔反復(Spaced Repetition)の仕組みは、短期記憶のまま消えていくのを防ぎ、効率的で持続性のある学習を実現します。

🔺 最適な復習タイミングが、記憶の定着を飛躍的に高める。

– 能動的想起(テスト効果)による記憶の強化

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能動的想起(アクティブリコール)による記憶の強化

ただ教科書を読むだけの「受動的学習」では、情報はなかなか定着しません。
一方で、学んだ内容を自分の頭で思い出そうとする「能動的学習」では、記憶の定着率が格段に向上することが、数多くの心理学的研究で示されています。

この「思い出そうとする行為」そのものが脳内の記憶経路を再活性化し、情報へのアクセスを強化します。その結果、より強固で思い出しやすい記憶が形成されるのです。

左側:受動的学習(教科書を読むだけ) → 記憶の定着は限定的
右側:能動的学習(思い出そうとする) → 記憶の定着が飛躍的にアップ

🔴 記憶は「入力」ではなく「出力」によって強化される。

Ankiなどのテスト形式の学習ツールは、まさにこの能動的想起(Active Recall)の原理を活かした方法であり、記憶の強化に極めて効果的です。

– 複数の感覚を使うと、記憶はもっと強くなる

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マルチモーダル学習による記憶定着の向上

記憶をより深く、強く定着させるには、視覚だけに頼るのではなく、複数の感覚を同時に使う「マルチモーダル学習」が効果的です。

  • 👁 視覚情報:文字・図を見て学ぶ

  • 👂 聴覚情報:音声を聞いて学ぶ

  • 触覚情報:実際に身体に触れ、感覚を伴って学ぶ

これらの異なる感覚情報が脳内で統合されることで、記憶のネットワークが多層的に構築され、忘れにくくなるのです。

特に経穴の学習においては、
「見る」+「聴く」+「触れる」という三感覚の連携が極めて有効。

🔷 マルチモーダル学習で、記憶が深く刻まれる。
→ 経穴の学習には「見る」「聴く」「触れる」が鍵。

– 二重符号化理論 – 記憶のバックアップを作る

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二重符号化理論(Dual-Coding Theory)
― 記憶のバックアップを作る学び方 ―

学習した情報を視覚(文字·図)と聴覚(音声)の2つの経路で同時に取り入れることで、記憶の定着が強化されるという理論が「二重符号化理論(Dual-Coding Theory)」です。

👁 視覚情報(文字・図)
👂 聴覚情報(音声)

これらは脳内で別々のチャンネルとして処理·保存されるため、どちらか一方の記憶が弱まっても、もう一方から補完され、思い出しやすくなるという利点があります。

たとえば、音を忘れても文字を見れば思い出せる。
または、文字を忘れても音を聞けば思い出せる。

📌 文字と音声の両方で学ぶことで、記憶が二重に保存される。
つまり、記憶にバックアップが作られるような状態が生まれ、忘れにくくなるのです。

– 声に出して覚えると、記憶はもっと深く残る

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― 生成効果(Production Effect)とは ―

単に「読む」「聞く」といった受動的な学習に比べて、自分の声で情報を発する=生成する(能動的学習)ことで、記憶の定着率は大幅に向上します。

この現象は、生成効果(Production Effect)と呼ばれ、心理学的にも広く研究されています。

📖👂 読む·聞く(受動的)
→ 情報は一方的に入力されるが、記憶への定着は弱い。
🗣🧠 声に出す(能動的)
→ 自らの言葉で発することで、脳内の記憶回路が活性化。
→ 記憶の痕跡が強く、深く刻まれる。

このように、音読やシャドーイングのような声に出す学習は、
単なる受け身の学習を超えて、脳に「刻み込む」記憶法へと変わります。

🔷 声に出す(=情報を生成する)ことが、記憶を深く定着させる鍵。

– 声に出すことは、優れた運動感覚学習となる
〜 シャドーイングは脳と身体をフルに使う記憶術 〜

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シャドーイングとは、聞いた音声をすぐに繰り返して発音する学習法です。

この方法には、単なる「耳で聞く学習」を超えた、運動感覚学習(Kinesthetic Learning)の効果があります。

なぜ記憶が深くなるのか?

  1. 発声(motor)
    → 口や喉などの運動器官を使い、声に出して情報を「体で再現」。

  2. 聴覚モニタリング(sensory)
    → 自分の発した声が耳から入り、自分の聴覚を再び刺激。

  3. 脳内でのフィードバック修正
    → 発声→聴取→修正のサイクルが脳内で繰り返されることで、運動感覚と知覚の統合が起こり、記憶がより強固になります。

  4. 体性感覚の追加モダリティ
    → 経穴名などの抽象的な情報が、「自分の声を出した感覚」と結びつき、身体に刻まれる。

•  目で見て、耳で聴いて、口で言う
• 「口が覚えている」=身体で覚えている

🔷 シャドーイングは、脳と身体を統合して使う、最強の記憶術。
抽象知識を身体的な感覚とつなげることで、記憶は格段に深まります。

Ankiを最大限に活かす鍵は、カードの“質”にある
― 効果的な学習のためには、高品質なカードが必要 ―

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Ankiは非常に優れた学習ツールですが、本当に効果を発揮するには「カードの質」が重要です。

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