動脈管索は、肺動脈幹と大動脈弓の間に存在する結合組織のヒモです。これは胎児循環時に重要な役割を果たしていた動脈管の名残です。
胎児循環における役割
胎児期には、肺がまだ機能していないため、肺動脈から大動脈弓へ血液をバイパスするのが動脈管です。動脈管を通じて、血液は肺を経由せずに大動脈に直接送られます。
出生後の変化
出生後、胎児は初めて肺を使って呼吸を始めます。このとき、動脈管は不要となり、自然に閉鎖して結合組織のヒモに変わります。これが動脈管索です。
まとめ
- 動脈管索:肺動脈幹と大動脈弓を結ぶ結合組織。
- 胎児期:動脈管として血液を肺を経由せずに大動脈へバイパス。
- 出生後:動脈管が閉鎖し、動脈管索に変化。
▶ 参考)動脈管開存症
新生児期を越しても、胎生期の動脈管が閉鎖せず開いたままに残ったものを動脈管開存症といいます。胎生期は肺血管抵抗が高く、右心室から駆出される血液量のおよそ90%は動脈管により大動脈弓へと流れます。出生後は肺血管抵抗の減少、末梢血管抵抗の増加、血圧上昇や卵円孔の閉鎖とともに、動脈管は1ヶ月程度で閉鎖します。動脈管開存症では高い大動脈圧により大動脈から肺動脈へと左→右への短絡が生じ、乳児期にうっ血性心不全や発育不全を起こしやすくなります。
ポイント
- 動脈管開存症:新生児期を越しても動脈管が閉鎖せず開いたまま残る状態。
- 胎生期の循環:肺血管抵抗が高く、右心室からの血液量の約90%が動脈管を通って大動脈弓へ流れる。
- 出生後の変化:肺血管抵抗の減少、末梢血管抵抗の増加、血圧上昇、卵円孔の閉鎖に伴い、動脈管は1ヶ月程度で閉鎖。
- 動脈管開存症の影響:高い大動脈圧により大動脈から肺動脈への左→右短絡が生じ、乳児期にうっ血性心不全や発育不全を引き起こす。