学習トップ理由で解く 臨床医学各論第8章 ▸ H. 外傷 / Q0853

理由で解く 臨床医学各論

Q0853 整形外科疾患

出典:鍼灸 第28回(2020) 問題64
問題
次の文で示す症例の病態で正しいのはどれか。「85歳の女性。左大腿骨頸部骨折の手術を受けた翌日の夜に、ちぐはぐな言動が出現した。」
選択肢
1 せん妄
2 認知症
3 うつ病
4 不安神経症
解答
正解1(せん妄)
解説
✓ 1. 正しい
せん妄
せん妄は急性に発症する一過性の意識変容であり、注意力低下・見当識障害・幻覚・興奮・ちぐはぐな言動などを呈する。 高齢者の術後は身体的ストレス(手術侵襲・疼痛・麻酔の影響)と環境の変化(入院・夜間)が重なり、せん妄を発症しやすい。特に夜間に増悪する傾向があり(夜間せん妄)、適切な対応により可逆的に改善する。85歳の高齢者が大腿骨頸部骨折の手術翌日の夜に急にちぐはぐな言動が出現したことから、せん妄が最も考えられる。
✗ 2. 誤り
認知症
認知症は数ヵ月〜数年かけて緩徐に進行する慢性的な認知機能低下であり、不可逆性の経過をたどる。 手術翌日に急性に発症する病態ではなく、本症例の経過とは合致しない。認知症の既往があるとせん妄を合併しやすいが、本問では急性発症の経過が問われている。
✗ 3. 誤り
うつ病
うつ病は持続的な気分の落ち込み・意欲低下・興味の喪失が主症状であり、数週間以上の経過で診断される。 術後翌日に急に「ちぐはぐな言動」が出現する経過はうつ病の症状としては典型的ではなく、意識変容も通常伴わない。
✗ 4. 誤り
不安神経症
不安神経症(全般性不安障害)は過度な不安や心配が主症状であり、意識変容やちぐはぐな言動は典型的な症状ではない。 不安神経症では意識は清明であるのが通常であり、急性の意識変容を伴う本症例の経過とは合致しない。
ポイント
  • 高齢者の術後に急性発症した意識変容・ちぐはぐな言動は「せん妄」を第一に考える
  • せん妄は夜間に増悪しやすく(夜間せん妄)、可逆的な状態であり、認知症の緩徐進行性・不可逆性と区別する
  • せん妄の誘因は高齢・手術・入院・夜間・脱水・薬剤・疼痛などであり、大腿骨頸部骨折術後は典型的な発症場面である
  • 重要用語: せん妄, 夜間せん妄, 認知症との鑑別 を正確に理解しておくこと。
比較表
鑑別疾患 発症様式 意識障害 経過 可逆性
せん妄 急性(数時間〜数日) あり 動揺性・夜間増悪 可逆的
認知症 慢性(数ヵ月〜数年) なし(初期) 緩徐進行性 不可逆的
うつ病 亜急性(数週間) なし 持続的な抑うつ 治療で改善
解説画像
鍼灸 第28回(2020) 問題64|次の文で示す症例の病態で正しいのはどれか。「85歳の女性。左大腿骨頸部骨折の手術を受けた翌日の夜に、ちぐはぐな言動が出現した。」 解説図
鍼灸 第28回(2020) 問題64|次の文で示す症例の病態で正しいのはどれか。「85歳の女性。左大腿骨頸部骨折の手術を受けた翌日の夜に、ちぐはぐな言動が出現した。」
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