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理由で解く 臨床医学各論

Q0852 整形外科疾患

出典:あマ指 第28回(2020) 問題58
問題
上肢の骨折で偽関節になりやすい部位はどれか。
選択肢
1 鎖骨骨幹部
2 上腕骨近位部
3 橈骨遠位部
4 舟状骨体部
解答
正解4(舟状骨体部)
解説
✗ 1. 誤り
鎖骨骨幹部
鎖骨骨幹部骨折は周囲の血流が豊富であるため比較的骨癒合しやすく、偽関節になることは稀である。 6〜8週間の鎖骨バンド(8字帯)による外固定で骨癒合が期待できる。鎖骨骨折は小児に多く、介達外力(肩をついた転倒)で中1/3に好発する。
✗ 2. 誤り
上腕骨近位部
上腕骨近位部骨折は海綿骨が豊富で血流も良好であるため、骨癒合は比較的良好であり偽関節になりにくい。 約80%は転位のない骨折であり保存的治療(三角巾固定)が適応となる。高齢者の転倒で好発し、骨粗鬆症の四大骨折の一つである。
✗ 3. 誤り
橈骨遠位部
橈骨遠位部骨折(コーレス骨折)は海綿骨が豊富で血流も良いため骨癒合しやすく、偽関節になりにくい。 手関節を軽度掌屈位でギプス固定し、4〜6週間で良好な骨癒合が得られることが多い。フォーク状変形が特徴的所見である。
✓ 4. 正しい
舟状骨体部
舟状骨骨折は上肢の骨折で偽関節になりやすい代表的な骨折である。 舟状骨は血流が遠位から近位に向かう特殊な血行動態(逆行性血行)を持つため、骨折により近位骨片の血行が途絶えやすい。その結果、骨癒合が遅延して偽関節や無腐性骨壊死(阻血性壊死)を合併しやすい。特に舟状骨の腰部(中央部)の骨折で偽関節リスクが高く、初期のX線撮影では骨折線が不明瞭なことがあるため見落とされやすい。
ポイント
  • 舟状骨骨折は遠位から近位への逆行性血行の特殊性から、上肢で最も偽関節・無腐性骨壊死を合併しやすい
  • 偽関節とは骨折後の骨癒合が完成せず、骨折部が異常な可動性を有する状態である
  • 舟状骨骨折は初期X線で見落とされやすく、解剖学的嗅ぎタバコ窩の圧痛が重要な臨床所見である
  • 重要用語: 舟状骨骨折, 偽関節, 逆行性血行, 無腐性骨壊死 を正確に理解しておくこと。
比較表
骨折部位 血行動態 骨癒合 偽関節リスク
舟状骨 遠位から近位への逆行性血行 不良 高い(上肢で最多)
鎖骨骨幹部 豊富な血流 良好 低い
上腕骨近位部 海綿骨豊富・血流良好 良好 低い
橈骨遠位部 海綿骨豊富・血流良好 良好 低い
解説画像
あマ指 第28回(2020) 問題58|上肢の骨折で偽関節になりやすい部位はどれか。 解説図
あマ指 第28回(2020) 問題58|上肢の骨折で偽関節になりやすい部位はどれか。
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