学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ34P115

理由で解く 柔道整復師

QJ34P115 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問115
問題
32歳の男性。工場で作業中に機械に左示指を挟まれて受傷した。救急車で医療機関に搬送され、正中索の部分損傷と診断された。手術療法を勧められたが、どうしても手術はしたくないとのことで保存療法を選択された。. PIP 関節の固定肢位はどれか。
選択肢
1 深屈曲位
2 60度屈曲位
3 30度屈曲位
4 伸展位
解答
正解4(伸展位)
解説

正中索(中央索)は中節骨底の背側に付着してPIP関節を伸展させる腱です。断端を近づけたまま治すため、保存療法ではPIP関節を伸展位で固定します。

指伸筋腱はMP関節の先で正中索と2本の側索に分かれ、正中索は中節骨底背側に、側索は合流して終止腱となり末節骨底背側に付着します。正中索が損傷したままPIP関節を屈曲位に置くと、断端が離開して修復が進まないだけでなく、背側にあるべき側索がPIP関節の回転軸より掌側へ滑り落ちます。すると側索はPIPを曲げ、DIPを過伸展させる方向に働くようになり、PIP屈曲・DIP過伸展のボタン穴(ボタンホール)変形が完成します。これを防ぐため、保存療法ではPIP関節を伸展位に保ち、同時にDIP関節の自動屈曲運動を行わせて側索と斜支帯の短縮・癒着を防ぎます。固定期間は4〜6週が目安で、MP関節は固定範囲に含めません。

✓ 4. 正しい
伸展位
正中索の断端どうしが最も近づき、側索が背側の正しい位置に保たれる肢位です。部分損傷でも考え方は同じで、伸展位を保つことがそのまま変形の予防になります。固定中もDIP関節は自動屈曲運動を行わせ、指全体の拘縮を防ぎます。
✗ 1. 誤り
深屈曲位
正中索の断端が最も大きく離開し、側索も掌側へ滑り落ちる肢位です。この状態で経過するとボタン穴変形が固定してしまうため、PIP関節を伸展位に保つ固定へ切り替えます。
✗ 2. 誤り
60度屈曲位
PIP関節を曲げるほど断端は離れます。正中索損傷でPIP関節を屈曲位に固定する適応はなく、伸展位を選びます。屈曲位で固定するとPIPの伸展障害も残りやすくなります。
✗ 3. 誤り
30度屈曲位
わずかな屈曲でも断端は離開し、側索の掌側移動が始まります。「少しなら大丈夫」とは考えず、完全伸展位を目標にします。日常生活で不意に曲がるのを防ぐため、装具や副子でPIP関節だけを伸展位に保ち、MP関節とDIP関節は動かせるようにしておきます。
ポイント
  • 正中索(中央索)=中節骨底の背側に付着し、PIP関節の伸展を担う。
  • 損傷後の固定肢位はPIP伸展位。屈曲位は断端離開と側索の掌側移動を招く。
  • ボタン穴変形=PIP屈曲+DIP過伸展。側索が掌側へずれることで完成する。
  • 固定中もDIP関節の自動屈曲運動を行い、側索・斜支帯の短縮を防ぐ。
  • 固定期間は4〜6週が目安。MP関節は固定に含めない。
比較表
損傷部位放置した場合の変形固定する関節と肢位併せて行う運動
正中索(中央索)ボタン穴変形(PIP屈曲+DIP過伸展)PIP関節・伸展位DIP関節の自動屈曲
終止腱(槌指・腱性)槌指変形(DIP屈曲)DIP関節・伸展位PIP関節の自動運動
側索の掌側脱転を伴う陳旧例ボタン穴変形が固定化PIP関節・伸展位(矯正装具)DIP関節の自動屈曲
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