学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ34P116

理由で解く 柔道整復師

QJ34P116 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問116
問題
18歳の男子。ハンドボールの試合中、大腿前面に激しい痛みを自覚・した。大腿前面に限局性の腫脹と圧痛、皮下出血がみられる。歩行時に痛みを訴え、膝関節の自動屈曲が困難である。損傷の可能性が高いのはどれか。
選択肢
1 大腿直筋
2 中間広筋
3 外側広筋
4 内側広筋
解答
正解1(大腿直筋)
解説

大腿前面に限局性の腫脹・圧痛・皮下出血があり、膝関節の自動屈曲が困難。大腿四頭筋のうち唯一の二関節筋である大腿直筋の肉ばなれを第一に考える所見です。

肉ばなれは、筋が伸ばされながら力を出す遠心性収縮のときに起こりやすく、二関節筋・羽状筋・速筋線維の多い筋に好発します。大腿直筋は下前腸骨棘から起こり、膝蓋骨を介して脛骨粗面に至る二関節筋で、股関節伸展と膝屈曲が同時に起こる局面で急激に伸張されます。ハンドボールのシュートやジャンプ、ダッシュはまさにこの条件をつくります。また大腿直筋は大腿前面の表層にあるため、断裂すると限局性の腫脹や陥凹、皮下出血が体表に現れやすいのも特徴です。膝を自動屈曲しようとすると損傷した大腿直筋が伸張されるため、痛みで曲げられません。裏を返せば、この筋を弛緩させて断端を近づける肢位は股関節屈曲位・膝関節伸展位であり、それがそのまま急性期の固定肢位になります。残る3つの広筋はいずれも単関節筋で、肉ばなれの好発筋ではありません。

✓ 1. 正しい
大腿直筋
大腿四頭筋で唯一の二関節筋であり、大腿前面の表層に位置します。受傷機転、疼痛部位、皮下出血の出現、膝の自動屈曲困難のすべてが一致します。急性期は冷却・圧迫・挙上を行い、股関節軽度屈曲位・膝関節伸展位(大腿直筋を弛緩させる肢位)で安静固定します。膝屈曲位は損傷した大腿直筋を伸張して断端を離開させるため避けます。陥凹の触知や皮下出血が強いときは完全断裂を疑って画像評価を勧めます。復帰は伸張時痛の消失を目安に段階的に進めます。
✗ 2. 誤り
中間広筋
大腿骨前面から起こる単関節筋で、大腿直筋の深層にあります。深部にあるため皮下出血が体表に現れにくく、肉ばなれの好発筋でもありません。ただし打撲による深部の血腫は骨化性筋炎の原因になるため、経過観察では留意します。
✗ 3. 誤り
外側広筋
単関節筋で、大腿の外側に位置します。損傷すれば圧痛や腫脹は大腿外側に出るはずで、大腿前面に限局する本例の所見とは一致しません。
✗ 4. 誤り
内側広筋
単関節筋で、大腿の遠位内側に位置し膝伸展の終末に働きます。圧痛部位が本例と合いません。
ポイント
  • 肉ばなれの好発条件=二関節筋・遠心性収縮・ダッシュやジャンプなどの急激な動作。
  • 大腿四頭筋で二関節筋は大腿直筋のみ。3つの広筋はいずれも単関節筋。
  • 表層筋の断裂は限局性腫脹・陥凹・皮下出血として体表に現れる。
  • 膝の自動屈曲困難=大腿前面の伸筋が伸張されて痛むサイン。他動的な伸張でも痛む。
  • 急性期は冷却・圧迫・挙上+膝伸展位固定(股関節は軽度屈曲位)。損傷した大腿直筋を弛緩させ、断端を近づける肢位を選ぶ。膝屈曲位は断端を離開させるため避ける。
  • 対比で覚える:大腿四頭筋(前面)の肉ばなれ=膝伸展位固定/ハムストリングス(後面)の肉ばなれ=膝軽度屈曲位固定。いずれも「損傷した筋を弛緩させる方向」を選んでいる。
  • 陥凹の触知や高度な皮下出血があれば完全断裂を疑い、画像診断へつなぐ。
比較表
起始またぐ関節位置肉ばなれの好発
大腿直筋下前腸骨棘股関節+膝関節(二関節筋)大腿前面・表層好発する
中間広筋大腿骨前面膝関節(単関節筋)大腿前面・深層まれ
外側広筋大腿骨粗線外側唇など膝関節(単関節筋)大腿外側まれ
内側広筋大腿骨粗線内側唇など膝関節(単関節筋)大腿遠位内側まれ
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。