学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §20 各論(脱臼) 下肢 / QJ34P091

理由で解く 柔道整復師

QJ34P091 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問91
問題
股関節屈曲 80度、軽度外転・外旋位でのダッシュボード損傷で生じにくいのはどれか。
選択肢
1 股関節単独脱臼
2 大腿骨頸部骨折
3 大腿骨頭骨折
4 関節窩後縁の骨折
解答
正解1(股関節単独脱臼)
解説

股関節屈曲80度・軽度外転外旋位は骨頭が臼蓋に深く収まった「はまりの良い」肢位です。この状態で膝前面から突き上げられると、外れるより先に骨が折れるため、単独の脱臼が最も生じにくくなります。

ダッシュボード損傷は、屈曲した膝の前面が衝突し、大腿骨長軸に沿って後方へ突き上げられる外力です。股関節が屈曲90度以上で内転・内旋している場合、骨頭は臼蓋後縁から逃げやすい向きにあるため、後方脱臼(腸骨脱臼)が単独で成立します。ところが屈曲が90度に届かず、しかも外転・外旋している本問の肢位では、骨頭の被覆が良く逃げ場がありません。加わった力は骨頭と臼蓋後縁がぶつかる衝撃として処理され、大腿骨頭骨折や寛骨臼後縁の骨折、あるいは頸部に働く剪断力による大腿骨頸部骨折として現れます。脱臼が起こるとしても骨折を伴う脱臼骨折の形をとります。「肢位が良いほど骨折になる」という関係を押さえるのが要点です。

✓ 1. 生じにくい(正解)
股関節単独脱臼
屈曲80度・軽度外転外旋位では骨頭が臼蓋に深く適合しており、骨頭が後縁を乗り越える前に骨性の衝突や剪断が起こります。そのため脱臼のみで完結することは少なく、骨折を伴わない単独脱臼はこの肢位では生じにくくなります。
✗ 2. 生じうる(答えではない)
大腿骨頸部骨折
骨頭が臼蓋に固定された状態で大腿骨長軸方向に力が加わると、頸部に強い剪断力が集中します。逃げ場のない肢位ほど頸部が折れやすくなります。
✗ 3. 生じうる(答えではない)
大腿骨頭骨折
骨頭が臼蓋後縁や臼底に強く押し付けられ、骨頭自体が圧壊・剪断されて骨折します。脱臼骨折の形をとることも多く、脱臼に骨頭骨折を合併した型はPipkin骨折と呼ばれます。
✗ 4. 生じうる(答えではない)
関節窩後縁の骨折
後方へ押し出された骨頭が寛骨臼の後縁(後壁)に衝突し、後縁を打ち欠くように骨折させます。ダッシュボード損傷では典型的に生じる損傷です。
ポイント
  • ダッシュボード損傷=屈曲した膝の前面からの直達外力が、大腿骨長軸に沿って後方へ伝わる。
  • 単独の後方脱臼が成立しやすいのは屈曲90度以上+内転+内旋。骨頭が臼蓋から逃げやすい肢位。
  • 屈曲が浅く外転外旋位だと骨頭の被覆が良く、外れる前に骨頭・臼蓋後縁・頸部が折れる。
  • この肢位では大腿骨頭骨折、寛骨臼後縁骨折、大腿骨頸部骨折が起こりやすい。
  • いずれも高エネルギー外傷であり、坐骨神経症状と患肢の肢位・短縮を確認し、直ちに医療機関へ搬送する。
比較表
股関節の肢位骨頭の被覆起こりやすい損傷
屈曲90度以上+内転+内旋浅い(後方へ逃げやすい)後方脱臼(単独脱臼が成立)
屈曲80度+軽度外転・外旋深い(逃げ場がない)大腿骨頭骨折、寛骨臼後縁骨折、大腿骨頸部骨折、脱臼骨折
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