学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §20 各論(脱臼) 下肢 / QJ33P092

理由で解く 柔道整復師

QJ33P092 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問92
問題
第1中足趾節関節脱臼の徒手整復で禁忌操作はどれか。
選択肢
1 趾を足底側に押し出す。
2 趾を遠位方向に牽引する。
3 趾を背側屈曲位に強制する。
4 基節骨背側基部を圧迫する。
解答
正解2(趾を遠位方向に牽引する。)
解説

第1MTP関節背側脱臼では、趾を長軸方向に引っ張る操作を避ける。牽引すると足底板や種子骨が関節内へ引き込まれ、徒手では戻せない複合脱臼にしてしまうためである。

背側脱臼では中足骨頭が足底側の関節包(足底板)を突き破るように押し出され、足底板とそこに含まれる種子骨が中足骨頭の背側へ巻き上がりやすい状態にある。ここで趾を遠位へ牽引すると、この組織がさらに関節面の間へ引き込まれて挟まり、いくら引いても戻らなくなる。そこで整復は牽引に頼らず、まず脱臼位である背屈を軽く強めて基節骨底を中足骨頭の背側縁に引っ掛け、その接触を保ったまま基節骨基部を遠位・足底方向へ押し出すように滑らせる。整復後はMTP関節の過伸展を避ける肢位で3週前後固定し、その後は隣接趾テーピングや足底板で保護しながら荷重を進める。数回試みても戻らないときは無理を重ねず、画像評価と観血的整復の判断ができる医療機関へつなぐ。

✓ 2. これが禁忌(設問の答え)
趾を遠位方向に牽引する。
長軸方向の牽引は、足底板や種子骨を関節腔内へ引き込んで嵌入させ、整復不能な複合脱臼をつくる。手指のMP関節背側脱臼と同じ理屈で、「引かずに押し出す」が原則になる。
✗ 1. 禁忌ではない(設問の答えではない)
趾を足底側に押し出す。
基節骨底を中足骨頭の背側面に沿って足底方向へ滑らせる操作そのもので、整復の主要な手順にあたる。
✗ 3. 禁忌ではない(設問の答えではない)
趾を背側屈曲位に強制する。
いったん背屈を強めて基節骨底を中足骨頭の背側縁に引っ掛けるのは、整復の第一段階として行う操作。過度に行う必要はないが、禁忌ではない。
✗ 4. 禁忌ではない(設問の答えではない)
基節骨背側基部を圧迫する。
背屈位を保ったまま基節骨基部を遠位・足底方向へ押し込む力を加える操作で、押し出し整復の中心となる手技。
ポイント
  • 第1MTP関節背側脱臼の整復原則は「引かずに押し出す」。
  • 単純牽引が禁忌の理由:足底板・種子骨を関節内に引き込み、複合(整復不能)脱臼にしてしまう。
  • 手順:背屈をやや強める → 基節骨底を中足骨頭背側縁に引っ掛ける → 遠位・足底方向へ押し出す。
  • 整復後は過伸展を避ける肢位で3週前後固定し、その後保護下に荷重を進める。
  • 徒手で戻らない場合は反復せず、画像評価と観血的整復が可能な医療機関へ紹介する。
比較表
操作可否理由
趾を遠位へ牽引する避ける足底板・種子骨が関節内に嵌入し整復不能となる
背屈をやや強める行う基節骨底を中足骨頭背側縁に引っ掛けるため
基節骨基部を背側から圧迫行う押し出し整復の主力となる力の加え方
趾を足底側へ押し出す行う基節骨底を中足骨頭に沿って滑り戻す
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