学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ33P106

理由で解く 柔道整復師

QJ33P106 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問106
問題
24歳の女性。スケートボード練習中に転倒して右手を衝き、手関節が伸展橈屈強制された。翌日、右手が動かしにくくなったため来所した。スナッフボックスの腫脹と圧痛、第1・2中手骨の骨軸方向からの軸圧痛がみられる。正しいのはどれか。
選択肢
1 母指はMP 関節の手前まで固定する。
2 クラーメル金属副子は背側にあてる。
3 手関節は軽度屈曲(掌屈)・橈屈位で固定する。
4 固定されていない手指は運動を積極的に行わせる。
解答
正解4(固定されていない手指は運動を積極的に行わせる。)
解説

スナッフボックスの腫脹・圧痛と第1・2中手骨の軸圧痛は舟状骨骨折を示す。固定が長期に及ぶため、固定範囲外の手指は積極的に動かしてもらうのが正しい。

舟状骨は遠位側から近位へ向かって血液が流れ込む構造のため、腰部や近位部で折れると近位骨片が阻血に陥り、遷延癒合・偽関節・近位骨片の壊死を起こしやすい。そのため固定期間が長く、その間の関節拘縮・筋萎縮・浮腫を防ぐ配慮が欠かせない。固定は母指を含めた手関節固定で、前腕近位1/3付近から手部まで及び、母指はMP関節を越えてIP関節手前までを含める。肢位は手関節軽度背屈・橈屈位とし、金属副子は前腕掌側にあてる。受傷直後のエックス線では骨折線が写らないことも多いので、所見がそろえば骨折として扱い、医療機関での再検査を勧める。

✓ 4. 正しい
固定されていない手指は運動を積極的に行わせる。
固定範囲外の示指〜小指、肘、肩は毎日自動運動を行わせる。長期固定に伴う関節拘縮・筋萎縮・浮腫を防ぎ、固定除去後の回復を早める。動かすことが治療の一部であると患者に説明して習慣づけるとよい。
✗ 1. 誤り
母指はMP 関節の手前まで固定する。
MP関節の手前で止めると母指の動きが骨折部に及び、固定として不十分である。母指はMP関節を越え、IP関節の手前まで含めて固定し、IP関節の運動は残す。
✗ 2. 誤り
クラーメル金属副子は背側にあてる。
副子は前腕掌側にあてる。掌側から支えることで手関節の軽度背屈位を保ちやすく、手を使う動作でも副子が浮きにくい。
✗ 3. 誤り
手関節は軽度屈曲(掌屈)・橈屈位で固定する。
橈屈は正しいが、掌屈は誤り。舟状骨骨折の固定肢位は手関節軽度背屈・橈屈位で、この肢位が骨片を近づけ安定させる。掌屈位では骨折部が離開しやすい。
ポイント
  • スナッフボックスの圧痛+第1・2中手骨の軸圧痛=舟状骨骨折。
  • 血流が遠位から入るため、近位骨片は阻血性壊死・偽関節を起こしやすい。
  • 固定肢位は手関節軽度背屈・橈屈位、副子は前腕掌側。
  • 固定範囲は前腕近位1/3付近から手部まで、母指はIP関節手前まで。
  • 固定外の手指・肘・肩は積極的に自動運動を行わせ、拘縮と浮腫を防ぐ。
比較表
項目正しい対応誤りやすい対応
母指の固定範囲MP関節を越えIP関節手前までMP関節の手前まで
副子の位置前腕掌側背側
手関節の肢位軽度背屈・橈屈軽度掌屈・橈屈
固定外の関節積極的に自動運動安静にして動かさない
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