学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ33P105

理由で解く 柔道整復師

QJ33P105 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問105
問題
45歳の女性。1年前のコーレス(Colles)骨折によって、橈骨が軽度短縮転位している。1か月前からドアノブを回す際に違和感を手関節に覚え、1週前から手関節尺側に腫脹と疼痛が出現した。考えられるのはどれか。
選択肢
1 橈尺骨癒合
2 長母指伸筋腱断裂
3 尺骨突き上げ症候群
4 反射性交感神経性ジストロフィー
解答
正解3(尺骨突き上げ症候群)
解説

コーレス骨折後に橈骨が短縮して治癒すると相対的に尺骨が長くなり、尺骨頭が手根骨を突き上げて尺側部痛を起こす。考えられるのは3である。

橈骨遠位端が短縮変形したまま癒合すると遠位橈尺関節の適合が崩れ、尺骨頭と月状骨・三角骨の間にある三角線維軟骨複合体(TFCC)に圧が集中する。前腕の回内外や手関節の尺屈でこの圧が高まるため、ドアノブや鍵を回す、雑巾を絞るといった動作で違和感や痛みが出て、手関節尺側に腫脹と圧痛が生じる。骨折治癒からしばらく経って発症する遅発性の障害という点も本例の経過に合致する。回旋を伴う動作の負荷を調整して手関節尺側の安静を図りつつ、症状が続く場合は画像評価のため医療機関へつなぐ。

✗ 1. 誤り
橈尺骨癒合
前腕両骨骨折後などに橈骨と尺骨が骨性に架橋してしまう続発症で、前腕の回内外が高度に制限され、ほぼ不能となる。違和感にとどまる本例とは程度も経過も異なる。
✗ 2. 誤り
長母指伸筋腱断裂
コーレス骨折の代表的な遅発性続発症だが、腱が擦り切れる場所はリスター結節付近(橈背側)で、症状は母指IP関節の自動伸展不能である。手関節尺側の腫脹・疼痛は説明できない。
✓ 3. 正しい
尺骨突き上げ症候群
橈骨の短縮により相対的に尺骨が長くなり、尺骨頭が手根骨側を突き上げてTFCCに圧が集中する。回旋動作での違和感から始まり手関節尺側の腫脹・疼痛に至る経過に一致する。
✗ 4. 誤り
反射性交感神経性ジストロフィー
骨折後比較的早期から手全体の激しい疼痛・腫脹・皮膚色調や発汗の変化・関節拘縮をきたす病態である。1年後に手関節尺側だけに限局して新たに出現する所見ではない。
ポイント
  • 橈骨が短縮変形して癒合すると相対的に尺骨が長くなり、尺骨突き上げ症候群を生じる。
  • 症状は手関節尺側の疼痛・腫脹、前腕回旋やドアノブ・雑巾絞りでの疼痛、握力低下。
  • 負荷が集中するのは尺骨頭と手根骨の間にあるTFCC。
  • 長母指伸筋腱断裂はリスター結節部で起こり、母指IP関節の自動伸展不能が特徴(橈側の症状)。
  • 症状の「部位」と「発症時期」で続発症を切り分けるのが鑑別の要点。
比較表
続発症症状の部位発症の時期特徴的な所見
尺骨突き上げ症候群手関節尺側数か月〜年単位(遅発性)回内外・尺屈での疼痛、握力低下
長母指伸筋腱断裂橈背側(リスター結節部)数週〜数か月母指IP関節の自動伸展不能
反射性交感神経性ジストロフィー手全体比較的早期激痛・腫脹・皮膚色調変化・関節拘縮
橈尺骨癒合前腕治癒過程で形成回内外の高度制限〜不能
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