学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §18 各論(脱臼) 頭部・体幹 / QJ33P086

理由で解く 柔道整復師

QJ33P086 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問86
問題
顎関節脱臼でみられないのはどれか。
選択肢
1 前方脱臼
2 側方脱臼
3 後方脱臼
4 下方脱臼
解答
正解4(下方脱臼)
解説

顎関節脱臼はほぼすべてが前方脱臼。まれに強い直達外力で側方脱臼・後方脱臼が起こるが、下方脱臼は成立しにくく、これが答えになる。

顎関節は下顎頭が下顎窩に収まり、その前方を関節結節が土手のように仕切っている構造をしている。大きく開口すると下顎頭は関節円板とともに関節結節の頂上まで滑り出るため、あくび、大笑い、長時間の歯科治療、嘔吐などをきっかけに関節結節を越えて前方へ外れやすい。これが前方脱臼で、両側性なら口が閉じられず開口位のまま固定され、下顎前突・流涎・言語障害・咀嚼不能を呈する。側方脱臼や後方脱臼は、下顎骨骨折を伴うほどの強い直達外力が加わったときに生じる例外的な型である。これに対し下方脱臼は、下顎頭を真下へ引き離す方向の外力が加わる場面がほとんどなく、加えて咬筋・側頭筋・内側翼突筋という閉口筋群が常に下顎を上方へ引き上げているため、独立した脱臼型として扱われない。整復は口腔内法(ヒポクラテス法)で、母指で下顎臼歯部を下方へ押し下げながら後方へ導く。反復性・習慣性へ移行しやすいので、整復後は開口制限の固定と、大きく口を開けないための具体的な生活指導を行う。

✓ 4. これが答え(みられない)
下方脱臼
下顎頭を真下へ引き離す外力が働く場面がなく、閉口筋群が常に下顎を上方へ引いているため、下方脱臼という型は成立しにくい。
✗ 1. みられる(答えではない)
前方脱臼
顎関節脱臼の大部分を占める。大開口によって下顎頭が関節結節を越えて前方へ外れる。両側性では開口位のまま口を閉じられなくなる。
✗ 2. みられる(答えではない)
側方脱臼
まれではあるが、下顎への強い側方からの直達外力によって生じうる。下顎骨骨折を伴うことがある。
✗ 3. みられる(答えではない)
後方脱臼
まれではあるが、オトガイ部への後方向きの強打などで生じうる。外耳道の損傷を合併することがある。
ポイント
  • 顎関節脱臼の大部分は前方脱臼。関節結節を越えて下顎頭が前方に外れる
  • 側方・後方脱臼はまれで、強い直達外力による例外型。下顎骨骨折を伴うことがある
  • 下方脱臼はみられない。下方へ引き離す外力がなく、閉口筋が下顎を引き上げている
  • 両側前方脱臼の所見=開口位固定、下顎前突、流涎、言語障害、咀嚼不能
  • 整復は口腔内法(ヒポクラテス法)。整復後は反復性への移行を防ぐ固定と開口制限の指導を行う
比較表
脱臼の型頻度成立する外力・状況
前方脱臼大部分大開口(あくび、大笑い、歯科治療、嘔吐)
側方脱臼まれ下顎への強い側方からの直達外力
後方脱臼まれオトガイ部への後方向きの強打
下方脱臼みられない下方へ引き離す外力がなく、閉口筋が上方へ牽引
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