学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §8 総論 関節の損傷 / QJ33P070

理由で解く 柔道整復師

QJ33P070 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問70
問題
関節軟骨損傷で正しいのはどれか。
選択肢
1 初期の段階で病態を把握しやすい。
2 直達外力による損傷が多い。
3 自己修復能が乏しい。
4 関節血症がみられる。
解答
正解3(自己修復能が乏しい。)
解説

関節軟骨は血管・神経・リンパ管をもたない組織で、栄養を滑液の拡散に頼っている。そのため損傷しても自己修復能が乏しい

関節面を覆う硝子軟骨には血流がない。損傷が起きても、修復に必要な炎症細胞・幹細胞・成長因子を運んでくる経路が存在せず、軟骨細胞そのものの分裂能も低いため、欠損部が元の硝子軟骨で埋め戻されることはほとんどない。損傷が軟骨下骨まで達した場合に限り、骨髄から出血と細胞が供給されて修復が起こるが、そこで作られるのは力学的性質の劣る線維軟骨で、元の関節面と同等にはならない。加えて神経がないので損傷しても痛みが出にくく、単純X線には軟骨そのものが写らない。この「症状が乏しく、画像にも出にくい」という性質が、早期発見を難しくしている。受傷機序としては、捻れによる剪断力や軸圧などの介達外力、あるいは繰り返しのメカニカルストレスによるものが多い。設問の「関軟骨」は関節軟骨を指すものとして扱う。

✓ 3. 正しい
自己修復能が乏しい。
無血管・無神経・無リンパで栄養は滑液依存。修復に必要な細胞と血流が届かず、軟骨細胞の分裂能も低いため、自然治癒がほとんど期待できない。これが関節軟骨損傷の最大の特徴。
✗ 1. 誤り
初期の段階で病態を把握しやすい。
神経がないため損傷直後の痛みが乏しく、単純X線に軟骨は描出されない。関節裂隙の狭小化などの間接所見が出るのは進行してから。初期把握はむしろ難しく、MRIや関節鏡が必要になる。
✗ 2. 誤り
直達外力による損傷が多い。
関節軟骨損傷は、捻れによる剪断力や軸圧などの介達外力、あるいは繰り返しのメカニカルストレスによるものが多い。膝前面の打撲やダッシュボード損傷のように、直達外力で膝蓋骨関節面・大腿骨滑車の軟骨が傷つくこと自体は起こりうるし、骨軟骨骨折も直達外力で生じる。しかし頻度としては介達外力によるものが主体であり、「直達外力による損傷が多い」とはいえない。
✗ 4. 誤り
関節血症がみられる。
軟骨自体に血管がないので、軟骨層だけの損傷では出血源がなく関節血症は生じにくい。関節血症が出るのは、軟骨下骨に達した骨軟骨損傷や、靱帯・半月板など血管を含む組織が傷ついたとき。
ポイント
  • 関節軟骨(硝子軟骨)は無血管・無神経・無リンパ。栄養は滑液の拡散に依存する
  • 修復細胞が届かず軟骨細胞の分裂能も低いため、自己修復能が乏しい
  • 痛みが出にくく単純X線に写らないので、初期の病態把握が難しい
  • 受傷機序は捻れ・剪断・軸圧といった介達外力が中心(直達外力でも生じうるが頻度では介達外力が主体)
  • 軟骨下骨に達すると出血が起こり、線維軟骨で修復されるが力学的性質は劣る
比較表
関節軟骨のみの損傷骨軟骨損傷(軟骨下骨に及ぶ)
出血・関節血症生じにくい生じる
修復反応ほぼ起こらない骨髄由来細胞により線維軟骨で修復
単純X線写らない骨片として写ることがある
有効な検査MRI・関節鏡単純X線+MRI・CT
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