学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §8 総論 関節の損傷 / QJ31P075

理由で解く 柔道整復師

QJ31P075 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問75
問題
関節を長期間固定することで起こるのはどれか。
選択肢
1 関節軟骨の栄養障害
2 深部腱反射の亢進
3 筋の阻血性拘縮
4 靱帯の弛緩
解答
正解1(関節軟骨の栄養障害)
解説

関節軟骨の栄養障害が起こる。関節軟骨には血管がなく、関節が動くことで関節液が出入りして栄養が届くため、動かさない期間が長いほど軟骨は栄養を受け取れなくなる。

関節軟骨は無血管・無神経の組織で、栄養は滑膜がつくる関節液から拡散によって受け取る。ただ浸かっているだけでは足りず、関節運動によって軟骨が圧迫と除圧を繰り返し、スポンジのように関節液を吸ったり吐いたりすることで栄養が入れ替わる。長期固定ではこのポンプが止まり、軟骨は変性・菲薄化する。同時に関節包・靱帯は短縮し、滑膜が癒着し、筋は萎縮して関節拘縮に至る。だから固定は必要な範囲・必要な期間にとどめ、固定していない隣接関節は積極的に動かし、固定内でできる等尺性収縮を早期から指導する。

✓ 1. 正しい
関節軟骨の栄養障害
軟骨は無血管で、関節運動による関節液のポンプ作用に栄養を依存する。固定でこれが止まり、変性・菲薄化が進む。
✗ 2. 誤り
深部腱反射の亢進
深部腱反射の亢進は上位運動ニューロン(錐体路)障害の徴候。関節を固定しただけで反射弓への抑制が外れることはなく、亢進しない。
✗ 3. 誤り
筋の阻血性拘縮
フォルクマン拘縮に代表される阻血性拘縮は、包帯や副子の締めすぎ、腫脹による区画内圧の上昇など、循環が急性に遮断されて起こる。原因は「圧迫」であって「長期間」ではなく、受傷後数時間〜数日が勝負になる。固定中は末梢の色・冷感・しびれ・強い痛みを繰り返し確認する。
✗ 4. 誤り
靱帯の弛緩
固定された関節では靱帯・関節包は短縮して硬くなる方向に変化する。生じるのは弛緩ではなく拘縮。
ポイント
  • 関節軟骨は無血管・無神経。関節液からの拡散+関節運動によるポンプ作用で栄養される。
  • 長期固定の影響=関節軟骨の変性、関節包・靱帯の短縮、滑膜の癒着、筋萎縮、骨萎縮。まとめて関節拘縮。
  • 阻血性拘縮(フォルクマン拘縮)は圧迫による急性の循環障害。長期固定の結果ではない。
  • 固定中も、固定していない隣接関節の自動運動と固定内での等尺性収縮を早期から行う。
  • 5P(疼痛・蒼白・脈拍消失・感覚異常・運動麻痺)を固定中の観察項目とし、疑えばただちに固定を緩めて医療機関へつなぐ。
比較表
組織長期固定で起こること
関節軟骨関節液のポンプ作用が止まり栄養障害、変性・菲薄化
関節包・靱帯短縮・肥厚(弛緩ではない)
滑膜増殖・癒着
廃用性萎縮(阻血性拘縮は圧迫が原因で別物)
深部腱反射亢進しない
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