学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §2 総論 運動器損傷の診察 / QJ31P076

理由で解く 柔道整復師

QJ31P076 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問76
問題
第1仙骨神経根障害の所見はどれか。
選択肢
1 FNS テスト陽性
2 足関節背屈不能
3 足背内側部感覚障害
4 アキレス腱反射低下
解答
正解4(アキレス腱反射低下)
解説

アキレス腱反射の反射弓を担うのは第1仙骨神経(S1)である。したがってS1神経根が障害されると、アキレス腱反射の低下・消失が最も特徴的な所見として現れる。

腰仙部の神経根症は「腱反射・筋力・感覚」の三点セットで障害高位を推定するのが基本である。S1では、アキレス腱反射の低下に加えて、下腿三頭筋・長腓骨筋の筋力低下(つま先立ちが続かない)、足部外側から小趾・足底にかけての感覚障害がそろう。ひとつ上のL5では腱反射に変化が出にくく、前脛骨筋・長母趾伸筋の筋力低下(足関節背屈や母趾背屈の低下、踵歩行が困難)と、下腿外側から足背内側・母趾にかけての感覚障害が出る。この「S1は底屈と反射、L5は背屈と足背内側」という対比を持っておけば、反射・筋力・感覚のどこを問われても仕分けできる。反射の評価は必ず左右を比較し、筋力低下が進行する場合や膀胱直腸障害を伴う場合は速やかに医療機関へつなぐ。

✓ 4. 正しい
アキレス腱反射低下
アキレス腱反射は下腿三頭筋の伸張反射で、求心路・遠心路とも脛骨神経を介しS1が反射中枢となる。S1神経根が圧迫されると反射弓が途切れ、健側と比べて反射が減弱・消失する。神経根症のなかでも他覚的に確認できる客観性の高い所見である。
✗ 1. 誤り
FNS テスト陽性
FNS(大腿神経伸展)テストは腹臥位で膝を屈曲させながら股関節を伸展し、大腿神経を伸張する検査である。陽性は大腿前面への放散痛を意味し、L2〜L4の上位腰椎レベルの神経根症を示唆する。S1の評価に用いるのは坐骨神経を伸張するSLRテストである。
✗ 2. 誤り
足関節背屈不能
足関節背屈は前脛骨筋(深腓骨神経、主にL4〜L5)が担う。背屈力の低下はL5高位を示す所見で、進行すると下垂足となる。S1障害で弱くなるのは背屈ではなく底屈(下腿三頭筋)で、片脚つま先立ちの反復ができるかで確認する。
✗ 3. 誤り
足背内側部感覚障害
足背内側から母趾にかけてはL5の皮膚分節にあたる。S1の感覚領域は下腿後面から足部外側、小趾、踵・足底側であり、障害部位がひとつ隣にずれている。感覚障害を訴える部位が足の内側か外側かは、L5とS1を分ける実用的な手がかりになる。
ポイント
  • アキレス腱反射の中枢はS1。低下・消失はS1神経根障害を強く示唆する。
  • S1=底屈(下腿三頭筋)低下+足部外側〜小趾・足底の感覚障害。つま先立ちで評価する。
  • L5=背屈(前脛骨筋・長母趾伸筋)低下+下腿外側〜足背内側・母趾の感覚障害。腱反射は保たれる。
  • L4=膝蓋腱反射低下+下腿内側の感覚障害。
  • 誘発テストはFNSが上位腰椎(L2〜L4)、SLRが下位腰椎(L4〜S1)と使い分ける。
比較表
高位腱反射筋力低下感覚障害の部位誘発テスト
L4膝蓋腱反射 低下大腿四頭筋・前脛骨筋下腿内側FNS
L5変化なし前脛骨筋・長母趾伸筋(背屈)下腿外側〜足背内側・母趾SLR
S1アキレス腱反射 低下下腿三頭筋・長腓骨筋(底屈)下腿後面〜足部外側・小趾・足底SLR
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