学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §11 総論 初期の施術 / QJ31P077

理由で解く 柔道整復師

QJ31P077 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問77
問題
RICE 処置でEの目的はどれか。
選択肢
1 関節可動域を保持する。
2 静脈還流を促進させる。
3 神経伝導速度を速める。
4 血管透過性を亢進させる。
解答
正解2(静脈還流を促進させる。)
解説

RICE処置のEはElevation(挙上)。損傷部位を心臓より高く保ち、重力を味方につけて静脈血とリンパ液の還流を促し、腫脹を抑えることが目的である。

急性外傷の直後は損傷部の血管透過性が上がり、血漿成分が組織へ漏れ出て腫れる。腫脹が強いと痛みが増し、周囲の組織が圧迫されて治癒が遅れる。RICEはこの連鎖を断つ4本柱で、Rest(安静)で二次損傷を防ぎ、Icing(冷却)で血管を収縮させ代謝と痛みを抑え、Compression(圧迫)で内出血と浮腫の広がりを抑え、Elevation(挙上)で静水圧を下げて溜まった液を心臓側へ戻す。挙上は「心臓より高く」が目安で、下肢なら仰臥位で枕やクッションに乗せる。冷却は凍傷を避けて1回15〜20分程度、圧迫は締めすぎると循環障害になるため末梢の色・冷感・しびれを確認しながら行う。

✓ 2. 正しい
静脈還流を促進させる。
患部を心臓より高く保つと静水圧が下がり、静脈血とリンパ液が戻りやすくなる。腫脹の軽減がねらい。
✗ 1. 誤り
関節可動域を保持する。
挙上は肢位を高く保つ処置で、可動域の維持を目的とするものではない。急性期はRest(安静)を優先し、可動域への働きかけは腫脹と疼痛が落ち着いてから段階的に始める。
✗ 3. 誤り
神経伝導速度を速める。
冷却によって神経伝導速度はむしろ低下し、それが疼痛緩和の一因となっている。伝導速度を速めることはRICEのどの要素の目的でもない。
✗ 4. 誤り
血管透過性を亢進させる。
透過性の亢進こそが腫脹の原因であり、RICEはこれを抑えるための処置。目的が正反対になっている。
ポイント
  • R=Rest(安静)、I=Icing(冷却)、C=Compression(圧迫)、E=Elevation(挙上)。
  • Eの目的=静脈・リンパ還流の促進による腫脹軽減。患部は心臓より高い位置に保つ。
  • Iの目的=血管収縮と代謝低下による二次的低酸素障害の抑制、疼痛軽減。神経伝導速度は低下する。1回15〜20分、凍傷に注意。
  • Cの目的=内出血と浮腫の拡大抑制。締めすぎは循環障害を招くので末梢の色・冷感・しびれを繰り返し確認する。
  • 4つは同時に組み合わせる。急性期を過ぎたら可動域と筋力の回復へ段階的に切り替える。
比較表
要素目的注意点
Rest(安静)二次損傷の防止、出血の抑制固定範囲は必要最小限に
Icing(冷却)血管収縮、代謝低下、疼痛軽減凍傷回避。1回15〜20分程度
Compression(圧迫)内出血・浮腫の拡大抑制締めすぎによる循環障害に注意
Elevation(挙上)静脈・リンパ還流の促進、腫脹軽減心臓より高く保つ
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