学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §8 疾患別各論 感染性疾患 / QJ33P059

理由で解く 柔道整復師

QJ33P059 整形外科学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問59
問題
急性化膿性骨髄炎で正しいのはどれか。
選択肢
1 成人に多い。
2 長管骨骨幹端部に多い。
3 連鎖球菌によるものが多い。
4 単純エックス線像では初期から骨変化がみられる。
解答
正解2(長管骨骨幹端部に多い。)
解説

急性化膿性骨髄炎は、成長期の小児に血行性に起こる骨の細菌感染である。細菌が停滞しやすい長管骨の骨幹端に好発するため、正解は2。

成長期の骨幹端では、栄養血管が骨端軟骨板の直下でヘアピン状に折り返し、そこで血流が急に緩やかになる「行き止まり」のような構造をつくっている。咽頭炎や皮膚化膿巣から血流に乗った細菌はこの部位に停滞して増殖するため、大腿骨遠位・脛骨近位といった膝周囲の骨幹端に集中して発症する。症状は高熱と患部の拍動性の激痛・腫脹・熱感で、痛みのため患肢を動かさなくなる(偽性麻痺)。血液検査では白血球・CRP・赤沈が上昇するが、単純エックス線での骨変化は発症から2週間ほど遅れて現れるため、早期はMRIや骨シンチグラフィが診断の助けになる。治療は、血液培養・膿の培養で検体を確保したうえで直ちに抗菌薬の全身投与を開始し(起炎菌と感受性が判明した段階で薬剤を絞り込む)、膿瘍があれば早期に切開・排膿する。培養結果を待ってから投与を始めないのは、遅れがそのまま重い後遺症に直結するからである。乳幼児では骨端軟骨板を貫く血管が骨端側へ通じているため感染が隣接関節へ波及して化膿性関節炎を合併しやすく、骨端軟骨板が障害されれば成長障害・変形を残す。さらに遷延すれば、壊死した骨(腐骨)とそれを包む新生骨(骨柩:involucrum)を伴う慢性骨髄炎となり、治療は長期化する。施術の現場では、明らかな外傷歴に見合わない強い自発痛に発熱を伴う小児を診たら本症を疑い、施術を中止して速やかに医師へ紹介したい。

✓ 2. 正しい
長管骨骨幹端部に多い。
骨幹端は骨端軟骨板直下で毛細血管がループ状となり血流が緩む部位で、血流に乗った細菌が定着・増殖しやすい。大腿骨遠位、脛骨近位、上腕骨近位など、成長の盛んな長管骨の骨幹端に好発する。
✗ 1. 誤り
成人に多い。
血行性の急性化膿性骨髄炎は、骨端軟骨板が残っている成長期(学童期前後)の小児に多い。成人では糖尿病や末梢循環障害を背景とした足部の感染、開放骨折や手術後の直達性感染、あるいは椎体に起こる化膿性脊椎炎という形をとることが多く、発症の主体が異なる。
✗ 3. 誤り
連鎖球菌によるものが多い。
最も多い起炎菌は黄色ブドウ球菌で、全体のおよそ7〜8割を占める。連鎖球菌やインフルエンザ桿菌、新生児ではB群連鎖球菌や大腸菌も原因になり得るが、最多ではない。菌の同定には血液培養と膿の培養を行い、判明した感受性に合わせて薬剤を絞り込む。ただし投与開始は培養結果を待たない——検体を採取したらただちに経験的抗菌薬を始めるのが原則である。
✗ 4. 誤り
単純エックス線像では初期から骨変化がみられる。
骨膜反応や骨透亮像といったエックス線上の骨変化が読めるようになるのは発症から約2週間後で、初期に写るのは軟部組織の腫脹程度である。したがってエックス線が正常でも本症は否定できない。早期発見には骨髄浮腫を捉えるMRIや骨シンチグラフィ、炎症反応の推移を組み合わせる。
ポイント
  • 好発は成長期の小児。部位は長管骨の骨幹端(大腿骨遠位・脛骨近位など膝周囲が代表)。
  • 感染経路は血行性が中心。骨幹端の血管ループで血流が緩み、細菌が停滞するのが理由。
  • 起炎菌は黄色ブドウ球菌が最多(約7〜8割)。連鎖球菌は最多ではない。
  • 症状は高熱+拍動性の激痛・腫脹・熱感、患肢を動かさない偽性麻痺。白血球・CRP・赤沈が上昇。
  • 単純エックス線の骨変化は約2週間遅れる。早期はMRI・骨シンチ、起炎菌の確定は培養。
  • 治療は培養検体を採ったらただちに抗菌薬を全身投与(結果を待たない)→菌名・感受性が判明したら薬剤を絞る。膿瘍があれば早期に切開・排膿。
  • 遅れが残す合併症が「即日紹介」の根拠。①乳幼児は骨端軟骨板を貫く血管から隣接関節へ波及し化膿性関節炎を合併、②骨端軟骨板が傷むと成長障害・変形、③慢性期は腐骨とそれを包む骨柩(involucrum)を伴う慢性骨髄炎。
比較表
項目小児の急性血行性骨髄炎成人の骨髄炎
好発部位長管骨の骨幹端(膝周囲に多い)椎体(化膿性脊椎炎)、足部
感染経路血行性(咽頭炎・皮膚化膿巣などから)直達性・波及性(開放骨折、術後、糖尿病性足病変)
背景因子骨端軟骨板直下の血管ループ構造糖尿病、末梢循環障害、免疫低下
起炎菌いずれも黄色ブドウ球菌が最多
画像単純エックス線の変化は約2週後。早期はMRI・骨シンチ
治療培養検体の採取後ただちに抗菌薬を開始(結果は待たない)→感受性判明後に薬剤を絞る。膿瘍は早期に切開・排膿
合併症化膿性関節炎(乳幼児)、成長障害・変形、慢性骨髄炎(腐骨・骨柩)難治化・再燃、脊椎では硬膜外膿瘍や麻痺
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