学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §6 総論 スポーツ整形外科 / QJ33P058

理由で解く 柔道整復師

QJ33P058 整形外科学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問58
問題
スポーツ整形外科の対象となるのはどれか。
選択肢
1 痛風
2 関節リウマチ
3 後縦靱帯骨化症
4 変形性膝関節症
解答
正解4(変形性膝関節症)
解説

スポーツ整形外科は、運動によって身体にかかる力(急性の外傷と、繰り返しの負荷による使いすぎ)で生じる運動器の障害を扱う領域である。選択肢のうち力学的負荷が発症・進行に直結するのは変形性膝関節症。

変形性膝関節症は関節軟骨の摩耗と変性が本態で、加齢に加えて肥満・内反変形(O脚)・過度の使用が進行因子になる。とくに半月板損傷や前十字靱帯損傷のあとに関節が不安定なまま使われると、若い年代でも二次性の変形性膝関節症に至る。したがって外傷の適切な治療、体重管理、大腿四頭筋を中心とした筋力強化、着地や切り返しのフォーム指導といった予防・再発防止がそのままスポーツ整形外科の課題になる。他の三つは代謝性・自己免疫性・骨化性の疾患で、運動器が力学的に壊れて起こる障害ではなく、内科的あるいは脊椎外科的な治療が主体となる(運動や脱水が症状の誘因になることはあっても、それは発症の本態ではない)。

✓ 4. 正しい
変形性膝関節症
関節への機械的ストレスが発症・進行の中心にあり、スポーツ外傷(半月板・靱帯損傷)の後遺症としても生じる。予防と競技復帰の管理を含めてスポーツ整形外科が扱う代表的疾患。
✗ 1. 誤り
痛風
血中尿酸が過飽和となり、関節内に尿酸塩結晶が析出して急性関節炎を起こす代謝性疾患。母趾MTP関節の激痛が典型で、対応は尿酸値の管理と食事・飲酒の見直し。激しい運動や脱水は発作の誘因になりうるが、運動器が力学的に壊れて起こる障害ではないため、スポーツ整形外科が扱う病態ではない。
✗ 2. 誤り
関節リウマチ
滑膜の自己免疫性炎症により多関節が対称性に腫脹・破壊される全身性疾患。朝のこわばりが特徴で、抗リウマチ薬による内科的治療が中心となる。
✗ 3. 誤り
後縦靱帯骨化症
脊柱管内の後縦靱帯が骨化して脊髄を圧迫する疾患で、遺伝的素因や糖代謝異常が背景にあるとされ、スポーツで発症するものではない。ただし骨化があると軽微な外傷でも脊髄症状が出やすいため、既往のある人の運動指導では頸部への衝撃や過度の後屈を避ける配慮が必要になる。
ポイント
  • スポーツ整形外科の対象=「一度の大きな力による外傷(骨折・靱帯損傷・脱臼)」と「繰り返しの負荷による障害(疲労骨折・腱障害・骨端症・変形性関節症)」。
  • 変形性膝関節症は一次性(加齢・肥満・アライメント)と二次性(外傷後、半月板・靱帯損傷後)に分かれ、二次性がスポーツと直結する。
  • 前十字靱帯損傷や半月板切除の既往は、将来の変形性膝関節症の危険因子。受傷時の適切な治療が長期予後を決める。
  • 痛風=代謝、関節リウマチ=自己免疫、後縦靱帯骨化症=骨化性(指定難病)と、成り立ちで仕分けると迷わない。
  • 「発症の本態」と「発作の誘因」は別物。痛風発作の誘因には暴飲暴食・アルコール・脱水・激しい運動・ストレスが挙がるが、だからといって痛風がスポーツ障害になるわけではない。
  • 保存療法の柱は体重管理・大腿四頭筋強化・膝への衝撃を減らす動作指導。運動を止めるのではなく、負荷の質と量を調整する。
比較表
疾患本態主な要因運動負荷との関係
変形性膝関節症関節軟骨の摩耗・変性加齢、肥満、アライメント、外傷後の不安定性直結する(一次予防・二次予防の対象)
痛風尿酸塩結晶による急性関節炎尿酸代謝異常、食事・飲酒発症の本態ではない(激しい運動・脱水は発作の誘因になりうる)
関節リウマチ滑膜の自己免疫性炎症自己免疫、遺伝素因発症の本態ではない
後縦靱帯骨化症後縦靱帯の骨化による脊髄圧迫遺伝素因、糖代謝異常など発症の本態ではない(骨化がある人は外傷時のリスクに注意)
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