学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §5 総論 骨・関節の損傷 / QJ33P057

理由で解く 柔道整復師

QJ33P057 整形外科学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問57
問題
偽関節を生じやすいのはどれか。
選択肢
1 橈骨遠位端骨折
2 手舟状骨骨折
3 大腿骨転子部骨折
4 脛骨近位端骨折
解答
正解2(手舟状骨骨折)
解説

本問は骨折後に偽関節(骨癒合が得られない状態)を生じやすい部位を問うものと読める。癒合するかどうかは、その骨に血液が届く道筋で決まり、選択肢のなかで血行が乏しいのは手舟状骨である。

手舟状骨は表面の大部分が関節軟骨に覆われ、栄養血管の入口が遠位(背側稜)に限られる。血流は遠位から近位へ逆行性に流れるため、腰部から近位で折れると近位骨片が血流を失い、骨壊死・遷延癒合・偽関節に陥りやすい。さらに手関節は日常動作で常に動くので固定が緩みやすく、受傷直後のエックス線では骨折線が写らず「捻挫」として放置されることも偽関節の大きな原因になる。手をついて受傷し嗅ぎタバコ窩に圧痛があれば本骨折を疑い、初回で写らなくても固定したうえで1〜2週後に再検するか、MRI・CTで確認する対応をとる。

✓ 2. 正しい
手舟状骨骨折
逆行性の血行のため近位骨片が阻血に陥りやすく、固定も効きにくい。加えて初期のエックス線で見逃されやすいことが重なり、偽関節の代表として問われる。
✗ 1. 誤り
橈骨遠位端骨折
骨幹端の海綿骨が豊富で血行に富み、整復と固定が保たれれば通常は良好に癒合する。問題になるのは変形治癒・関節面の不整・長母指伸筋腱の遅発性断裂などで、偽関節はまれ。
✗ 3. 誤り
大腿骨転子部骨折
転子部は関節包の外にあり、周囲の筋付着と海綿骨から血流を受けるため骨癒合自体は得られやすい。課題は内反変形などの変形治癒と、臥床に伴う全身合併症。偽関節が問題になるのは、関節包内で血行が絶たれる大腿骨頸部(内側)骨折のほうで、ここが引っかけどころ。
✗ 4. 誤り
脛骨近位端骨折
骨幹端の海綿骨で血流が良く癒合しやすい。主な問題は関節面の陥没に伴う外傷後変形性関節症で、脛骨で偽関節が多いのは血行に乏しい骨幹遠位1/3のほう。
ポイント
  • 偽関節の三大要因は「血行不良」「固定が不十分で骨折部が動く」「骨片の離開や軟部組織の介在」。どれに当てはまるかで考える。
  • 手舟状骨は遠位から近位への逆行性血行。折れる位置が近位ほど壊死・偽関節のリスクが高い。
  • 受傷直後のエックス線で写らないことがある。疑ったら固定して1〜2週後に再検、またはMRI・CTで確認する。
  • 偽関節をつくりやすい代表は、手舟状骨・大腿骨頸部(内側)・脛骨骨幹遠位1/3・距骨頸部。いずれも血行が乏しい部位。
  • 同じ大腿骨近位でも、頸部(関節包内・偽関節や骨頭壊死が多い)と転子部(関節包外・癒合良好)は別物として整理する。
比較表
骨折血行癒合の傾向主な問題点
手舟状骨骨折遠位から近位への逆行性で乏しい遷延癒合・偽関節が多い近位骨片の壊死、初期の見逃し
橈骨遠位端骨折海綿骨で豊富良好変形治癒、関節面の不整、腱断裂
大腿骨転子部骨折関節包外で豊富良好内反変形、臥床による全身合併症
大腿骨頸部(内側)骨折関節包内で絶たれやすい偽関節・骨頭壊死が多い阻血性骨頭壊死
脛骨近位端骨折海綿骨で豊富良好関節面の陥没、外傷後変形性関節症
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