学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §6 総論 スポーツ整形外科 / QJ28P058

理由で解く 柔道整復師

QJ28P058 整形外科学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問58
問題
スポーツ中の突然死に関連しないのはどれか。
選択肢
1 脳しんとう
2 心臓しんとう
3 肥大型心筋症
4 慢性硬膜下血腫
解答
正解4(慢性硬膜下血腫)
解説

スポーツ中の突然死は「心臓が急に止まる」か「頭部外傷で急激に脳が圧迫される」かのどちらかで起こります。慢性硬膜下血腫は数週間かけてゆっくり進む病態なので、その場で命を落とす突然死とは結びつきません。

競技中の突然死の多くは心臓が原因で、若年者では肥大型心筋症、QT延長症候群などの潜在する心疾患、そして胸部に球やひじが当たった瞬間に心室細動を起こす心臓震盪(commotio cordis)が代表です。頭部側では、脳しんとうを起こした選手が回復しないうちに再度の頭部外傷を受けると急激な脳腫脹をきたすセカンドインパクト症候群や、架橋静脈の断裂による急性硬膜下血腫が問題になり、これらは分〜時間の単位で致死的になります。一方、慢性硬膜下血腫は軽微な頭部外傷から3週〜数か月後に、高齢者や飲酒者で頭痛・認知機能低下・片麻痺として現れ、穿頭血腫除去で改善する予後良好な疾患です。現場では、胸部打撲後に倒れた選手には直ちに心肺蘇生とAEDを開始し、頭部外傷では脳しんとうが疑われた時点で必ず競技から外して段階的復帰を守ることが命を守る行動になります。

✓ 4. 関連しない(これが答え)
慢性硬膜下血腫
受傷から数週〜数か月かけて硬膜下に血液が貯留し、頭痛・歩行障害・認知機能低下として緩徐に発症します。経過が長く、穿頭ドレナージで治療できるため、競技中に突然死を起こす病態には当たりません。これが「関連しない」ものとして正解です。
✗ 1. 関連する(答えではない)
脳しんとう
脳しんとうそのものは一過性の機能障害ですが、回復前に再度の頭部外傷を受けるセカンドインパクト症候群では急激な脳腫脹・脳ヘルニアを起こし致死的になります。また意識障害の背後に急性硬膜下血腫が隠れていることもあり、突然死と関連します。
✗ 2. 関連する(答えではない)
心臓しんとう
心臓震盪は、心臓に器質的異常がない人が心室の受攻期(T波の上行脚)に一致して前胸部に衝撃を受け、心室細動に陥る病態です。野球・ソフトボール・空手などで報告され、直ちにAEDを使えるかどうかが救命を左右します。突然死と直結します。
✗ 3. 関連する(答えではない)
肥大型心筋症
若年アスリートの心臓突然死で最も多い基礎疾患のひとつです。左室心筋の異常肥大により、運動負荷で流出路狭窄・心筋虚血・致死性不整脈を起こします。学校心臓検診で心電図異常から拾い上げる意義が大きい疾患です。
ポイント
  • スポーツ中の突然死=心原性(肥大型心筋症・心臓震盪・不整脈疾患)+急性頭部外傷(急性硬膜下血腫・セカンドインパクト症候群)。
  • 心臓震盪は健常心に起こる。前胸部打撲直後の倒れ込みは即CPR+AED。
  • 慢性硬膜下血腫は軽微な外傷の3週〜数か月後に緩徐発症、高齢・飲酒が背景。予後は良好。
  • 脳しんとうを疑ったらその日は復帰させない(段階的復帰プロトコル)。
  • 急性硬膜下血腫は架橋静脈損傷で分単位に増悪、意識レベルの低下・瞳孔不同を見逃さない。
比較表
急性硬膜下血腫慢性硬膜下血腫
発症までの時間受傷直後〜数時間受傷後3週〜数か月
出血源架橋静脈・脳挫傷部被膜からの反復性の少量出血
好発強い外力(スポーツ・転倒)高齢者・飲酒者・軽微な外傷
症状意識障害、瞳孔不同、急速増悪頭痛、認知機能低下、片麻痺が緩徐に
突然死との関連強い乏しい
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