学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §2 総論 整形外科診察法 / QJ28P057

理由で解く 柔道整復師

QJ28P057 整形外科学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問57
問題
異常歩行の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 鶏歩腓腹筋麻痺
2 トレンデレンブルグ歩行 ー.先天性股関節脱臼
3 逃避歩行-腰椎椎間板ヘルニア
4 分回し歩行-脳血管障害
解答
正解1(鶏歩腓腹筋麻痺)
解説

異常歩行は「どの筋・どの神経が働かないか」から形が決まります。鶏歩(steppage gait)は足関節を背屈できないこと(下垂足)で起こるため、底屈筋である腓腹筋の麻痺とは結びつきません。

歩行は「遊脚期につま先を持ち上げる」「立脚期に骨盤を水平に保つ」「痛みを避ける」という要素で成り立っています。前脛骨筋(深腓骨神経)が麻痺すると遊脚期につま先が垂れ、地面に引っかからないよう膝と股関節を高く上げて踏み出す鶏歩になります。腓腹筋(脛骨神経)は立脚後期の蹴り出しを担う底屈筋なので、麻痺しても踵離れが弱くなる(蹴り出しの悪い歩行)のであって、つま先が垂れる鶏歩にはなりません。中殿筋が働かなければ立脚側に骨盤が保てずトレンデレンブルグ歩行、痛ければ患側の立脚時間を短くする逃避歩行、下肢が伸展・内反位で固まれば分回し歩行、と原因から形を導けます。

✓ 1. 誤っている組合せ(これが答え)
鶏歩腓腹筋麻痺
鶏歩の原因は前脛骨筋など背屈筋群の麻痺(総腓骨神経麻痺・腓骨頭骨折後・腰椎椎間板ヘルニアのL5障害など)です。腓腹筋は底屈筋で、麻痺しても蹴り出しが弱くなるだけでつま先は垂れません。よって組合せとして誤りであり、これが正解です。
✗ 2. 正しい組合せ(答えではない)
トレンデレンブルグ歩行 ー.先天性股関節脱臼
先天性股関節脱臼(発育性股関節形成不全)では骨頭が上方に偏位して中殿筋の起始・停止が近づき、筋の張力が発揮できません。患側で片脚立ちすると遊脚側の骨盤が下がるトレンデレンブルグ徴候が出ます。組合せは適切です。
✗ 3. 正しい組合せ(答えではない)
逃避歩行-腰椎椎間板ヘルニア
逃避歩行(疼痛回避歩行)は痛い側に体重をかける時間を短くする歩き方で、下肢痛を伴う疾患全般でみられます。腰椎椎間板ヘルニアの坐骨神経痛でも起こるため、組合せは適切です。
✗ 4. 正しい組合せ(答えではない)
分回し歩行-脳血管障害
脳血管障害の片麻痺では下肢が伸展・内反尖足の痙性肢位をとり、遊脚期に膝を曲げて足を持ち上げられません。そのため患側下肢を外側に円を描くように振り出す分回し歩行になります。組合せは適切です。
ポイント
  • 鶏歩=下垂足=背屈筋(前脛骨筋)の麻痺。腓骨神経麻痺・L5障害を疑う。
  • 腓腹筋(脛骨神経)は底屈=蹴り出し担当。麻痺しても鶏歩にはならない。
  • トレンデレンブルグ歩行=中殿筋不全。先天性股関節脱臼・変形性股関節症・中殿筋麻痺で出る。
  • 逃避歩行=痛みで患側立脚時間が短い。分回し歩行=片麻痺の痙性伸展肢位。
  • 歩行観察では「遊脚期の問題か立脚期の問題か」を分けて見ると原因筋にたどり着ける。
比較表
異常歩行特徴原因(責任筋・神経)
鶏歩膝を高く上げ、つま先から接地前脛骨筋麻痺(総腓骨神経・L5)
トレンデレンブルグ歩行片脚立ちで遊脚側の骨盤が下がる中殿筋不全(先天性股関節脱臼など)
逃避歩行患側の立脚時間が短い下肢の疼痛(椎間板ヘルニア等)
分回し歩行患肢を外側に弧を描いて振り出す片麻痺の痙性(脳血管障害)
動揺性歩行体幹を左右に振る、あひる様両側中殿筋不全・筋ジストロフィー
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