学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §20 臨床実地問題 / QJ28P056

理由で解く 柔道整復師

QJ28P056 外科学概論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問56
問題
49歳の男性。3年前に脳ドックで脳動脈瘤を指摘されていた。今朝、突然頭の中が爆発するような激しい頭痛が出現した。考えられるのはどれか。
選択肢
1 脳梗塞
2 脳内出血
3 硬膜外血腫
4 くも膜下出血
解答
正解4(くも膜下出血)
解説

脳動脈瘤を指摘されていた患者に、突然「爆発するような」激しい頭痛が起こった——これは脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の典型的な経過である。

くも膜下出血の約8割は脳動脈瘤の破裂によるもので、動脈血が一気にくも膜下腔へ広がるため、「バットで殴られたような」「頭の中が爆発するような」と表現される突発完成型の激烈な頭痛が起こる。頭痛は発症の瞬間が明確で、いつから始まったかを患者が特定できるのが特徴である。嘔吐や一過性の意識消失を伴い、血液がくも膜下腔を刺激することで項部硬直やケルニッヒ徴候などの髄膜刺激徴候が現れる(ただし発症直後には出ていないこともある)。血液は脳実質を壊すわけではないため、片麻痺などの巣症状は比較的目立たない。診断は頭部CTでくも膜下腔に高吸収域を認めることによる。再破裂すると予後が急激に悪化するので、安静を保ち、刺激を避け、直ちに救急要請することが最優先となる。突然発症の激しい頭痛は施術の対象とせず医療機関へつなぐ、という判断を徹底したい。

✓ 4. 正しい
くも膜下出血
脳動脈瘤の既往という背景、突然発症、これまでに経験のない激烈な頭痛という3点が揃っており、動脈瘤破裂によるくも膜下出血として矛盾がない。CTでくも膜下腔の高吸収域を確認して診断する。
✗ 1. 誤り
脳梗塞
血管の閉塞により脳が虚血に陥る病態で、片麻痺・構音障害・失語・半盲などの巣症状で発症する。頭痛は目立たないか軽度にとどまり、本症例のような激烈な頭痛が主症状となることは典型的でない。
✗ 2. 誤り
脳内出血
高血圧を背景に被殻や視床などの脳実質内へ出血するもので、頭痛とともに片麻痺・意識障害・共同偏視といった巣症状が前面に出る。脳動脈瘤の破裂という背景から想起される病態としては、くも膜下出血の方が妥当である。
✗ 3. 誤り
硬膜外血腫
頭部外傷を前提とし、多くは中硬膜動脈の損傷による。受傷直後の意識障害の後に意識清明期があり、その後急速に悪化するという経過が特徴である。本症例には外傷の記載がなく、経過も合致しない。
ポイント
  • 突然発症の激烈な頭痛+脳動脈瘤の既往 → くも膜下出血をまず疑う。原因の大半は動脈瘤破裂。
  • 症状は突発完成型の頭痛、嘔吐、一過性意識消失、項部硬直などの髄膜刺激徴候。巣症状は目立ちにくい。
  • 脳内出血は高血圧が背景で、頭痛に加え片麻痺・意識障害などの巣症状が前面に出る。
  • 硬膜外血腫は頭部外傷が前提で、意識清明期の後に急速悪化する。
  • 再破裂で予後が急激に悪化するため、安静を保ち刺激を避け、直ちに救急要請する。突然の激しい頭痛は施術対象とせず医療機関へつなぐ。
比較表
疾患典型的な背景症状の特徴CT所見
くも膜下出血脳動脈瘤の破裂突発完成型の激烈な頭痛、嘔吐、髄膜刺激徴候くも膜下腔の高吸収域
脳内出血高血圧頭痛+片麻痺・意識障害・共同偏視などの巣症状脳実質内の高吸収域
脳梗塞血栓・塞栓巣症状が主体、頭痛は軽いか目立たない発症早期には所見が乏しい
急性硬膜外血腫頭部外傷(中硬膜動脈)意識清明期の後に急速悪化凸レンズ型の高吸収域
急性硬膜下血腫頭部外傷(架橋静脈)受傷直後から意識障害が持続三日月型の高吸収域
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