学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 外科学概論 ▸ §20 臨床実地問題 / QJ29P056
理由で解く 柔道整復師
後腹膜腔に血腫ができたということは、出血源が後腹膜にある臓器だという意味です。本問で問われる小腸(空腸・回腸)・肝臓・脾臓はいずれも腹膜内臓器であり、後腹膜臓器は膵臓です。バイク転倒という受傷機転もこれに合致します。
腹部の臓器は、腹膜に包まれて腹腔内にある腹膜内臓器(肝臓・脾臓・胃・空腸・回腸・横行結腸など)と、腹膜の背側にある後腹膜臓器(膵臓・十二指腸の大部分・腎臓・尿管・副腎・上行結腸・下行結腸・腹部大動脈・下大静脈など)に分かれます。出血した臓器がどちらに属するかで血液のたまる場所が変わるため、CTで後腹膜血腫を認めたという情報は、そのまま損傷臓器の候補を絞る手がかりになります。膵臓は第1〜2腰椎の前を横に走り、椎体という硬い土台の上に乗っているため、ハンドルバーなどによる上腹部の強い前後方向の外力で椎体との間に挟まれて損傷します。バイク転倒は典型的な受傷機転です。さらに膵臓は後腹膜にあるため腹膜刺激症状が出にくく、発見が遅れやすいという特徴もあります。血清・尿中アミラーゼの上昇や造影CTで評価し、主膵管が損傷しているかどうかが治療方針を決める要点になります。
| 臓器 | 腹膜との位置関係 | 出血のたまる場所 | 損傷時の主な所見 |
|---|---|---|---|
| 膵臓 | 後腹膜臓器 | 後腹膜腔 | 腹膜刺激症状が乏しい、アミラーゼ上昇、上腹部・背部痛 |
| 小腸(空腸・回腸) | 腹膜内臓器(腸間膜あり) | 腹腔内 | 腸内容漏出による腹膜炎、遊離ガス |
| 十二指腸(参考) | 後腹膜臓器(大部分) | 後腹膜腔 | 後腹膜血腫、症状が乏しく診断が遅れやすい |
| 肝臓 | 腹膜内臓器 | 腹腔内 | 右上腹部痛、大量の腹腔内出血、出血性ショック |
| 脾臓 | 腹膜内臓器 | 腹腔内 | 左季肋部痛、左肩への放散痛、左下位肋骨骨折の合併 |
| 腎臓(参考) | 後腹膜臓器 | 後腹膜腔 | 側腹部痛、血尿、側腹部の腫脹 |
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