学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §2 総論 整形外科診察法 / QJ25P055

理由で解く 柔道整復師

QJ25P055 整形外科学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問55
問題
徒手筋力テストで正しいのはどれか。
選択肢
1 重力を除けば全可動域で完全に動くのは5である。
2 関節は動かず筋電図上で筋収縮も認められなければ1である。
3 重錘を用いて計測する。
4 片足でのつま先立ちが1回から9回まで可能な時は3である。
解答
正解4(片足でのつま先立ちが1回から9回まで可能な時は3である。)
解説

徒手筋力テスト(MMT)は、検者の「手」だけで重力と抵抗を使い分け、筋力を0〜5の6段階で判定する評価法です。段階3(抵抗をかけずに重力に抗して全可動域が動く)を基準線に、上は抵抗の強さで、下は重力の有無と収縮の有無で分かれます。

段階の骨格は、5=強い抵抗に抗して全可動域、4=中等度の抵抗に抗して全可動域、3=抵抗なしで重力に抗して全可動域、2=重力を除いた肢位(除重力位)なら全可動域、1=関節は動かないが筋収縮を触知できる、0=筋収縮がまったくない、です。番号を丸暗記するより「重力に勝てるか(3以上か2以下か)」「収縮があるか(1か0か)」という2つの分岐で考えると取り違えません。ただし下腿三頭筋(足関節底屈)だけは例外で、臥位で手による抵抗を加えても筋が強すぎて段階差が出ないため、立位での片脚つま先立ち(ヒールレイズ)の反復回数で判定します。本問はこの特例を知っているかどうかが分かれ目です。

✓ 4. 正しい
片足でのつま先立ちが1回から9回まで可能な時は3である。
下腿三頭筋は徒手抵抗では強さを評価しきれないため、立位で片脚つま先立ちを繰り返させ、その回数で段階を決めるのが標準的な方法です。全可動域のつま先立ちが1〜9回できれば3、荷重せずに(除重力位で)全可動域が動く場合が2と判定します。1回でも自分の体重を持ち上げられれば「重力に抗して全可動域が動いた」ことになるので、3以上と考えると理屈で覚えられます。回数が増えるほど上位の段階になりますが、段階4と5を分ける閾値は成書により異なり、Daniels & Worthinghamでは5=25回、4=10〜24回とされます(20回を5の基準とする教科書もあります)。本問が問うているのは「1〜9回=3」という、いずれの成書でも共通する一点です。
✗ 1. 誤り
重力を除けば全可動域で完全に動くのは5である。
これは段階2(Poor)の定義です。5(Normal)は、検者が強い抵抗を加えても全可動域を完全に動かせる状態を指します。重力に負けてしまう時点で3未満と判断されるため、5とは大きく隔たります。
✗ 2. 誤り
関節は動かず筋電図上で筋収縮も認められなければ1である。
収縮がまったく認められない状態は0(Zero)です。1(Trace)は、関節運動は起こらないものの、触診や筋電図で筋収縮そのものは確認できる状態を指します。「1は収縮あり、0は収縮なし」がこの2段階を分ける唯一の基準です。
✗ 3. 誤り
重錘を用いて計測する。
「徒手」という名の通り、検者が自分の手で抵抗を加えて段階づけする方法です。重錘(おもり)や握力計・等速性筋力測定機器を使う定量的な筋力測定は別の手法であり、MMTには含まれません。特別な器具が要らず臨床の現場ですぐ行えることがMMTの利点です。
ポイント
  • MMTは0〜5の6段階。判定の中心は「重力に抗して全可動域が動くか」で、これができれば3。
  • 5=強い抵抗に抗して全可動域、4=中等度の抵抗に抗して全可動域。抵抗の強さで上位2段階を分ける。
  • 2=除重力位で全可動域、1=関節運動はないが収縮を触知、0=収縮なし。1と0の境目は収縮の有無。
  • 検者の手だけで行うのが原則。重錘や測定機器を用いる定量法とは区別する。
  • 足関節底屈(下腿三頭筋)は例外で、片脚つま先立ちの回数で判定する。1〜9回なら3、除重力位で全可動域なら2。
  • 段階4・5の回数の閾値は成書により異なる(Daniels & Worthinghamでは5=25回、4=10〜24回。20回を基準とする教科書もある)。試験で問われるのは「1〜9回=3」。
比較表
段階呼称一般の筋の判定足関節底屈(片脚つま先立ち)
5Normal強い抵抗に抗して全可動域25回以上(成書により20回以上とするものもある)
4Good中等度の抵抗に抗して全可動域10〜24回(同様に成書により幅がある)
3Fair抵抗なしで重力に抗し全可動域1〜9回
2Poor除重力位で全可動域荷重せずに全可動域が動く
1Trace関節は動かないが収縮を触知収縮を触知するのみ
0Zero収縮がまったくない収縮がまったくない
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