学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §2 総論 整形外科診察法 / QJ30P057

理由で解く 柔道整復師

QJ30P057 整形外科学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問57
問題
異常歩行と要因の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 鶏歩- 大腿神経麻痺
2 失調性歩行-腰部脊柱管狭窄症
3 分回し歩行-脳性麻痺
4 トレンデレンブルグ歩行-変形性股関節症
解答
正解4(トレンデレンブルグ歩行-変形性股関節症)
解説

異常歩行は「どの筋が働かないか」「その筋を支配する神経・部位はどこか」で決まります。正しい組合せはトレンデレンブルグ歩行と変形性股関節症で、正解は4です。

歩行の異常は、立脚期に体を支えられないタイプと、遊脚期に足を運べないタイプに分けて考えると整理しやすくなります。トレンデレンブルグ歩行は前者で、立脚期に中殿筋が骨盤を水平に保てず、遊脚側(挙げている側)の骨盤が下がります。変形性股関節症では骨頭・頸部の変形により中殿筋のてこが不利になり、疼痛による筋出力低下も加わるため、この歩行が典型的に現れます。両側性になると左右に体幹が振れるアヒル歩行(動揺性歩行)になります。一方、鶏歩は遊脚期に足先が垂れる(下垂足)ため、つま先を引っかけないよう膝を高く上げる歩き方です。

✓ 4. 正しい
トレンデレンブルグ歩行-変形性股関節症
中殿筋の機能不全で生じる歩行です。変形性股関節症では骨頭の変形・関節裂隙の狭小化により中殿筋の起始停止の距離関係が崩れててこが不利になり、さらに疼痛で筋が働きにくくなります。片脚立位で骨盤が遊脚側に傾く所見をトレンデレンブルグ徴候といい、発育性股関節形成不全や上殿神経麻痺でも陽性となります。
✗ 1. 誤り
鶏歩- 大腿神経麻痺
鶏歩は下垂足に伴う歩行で、前脛骨筋を支配する総腓骨神経(深腓骨神経)の麻痺が代表的な原因です。大腿神経麻痺では大腿四頭筋が働かず、立脚期に膝が崩れる膝折れが起こり、階段や坂道でとくに不安定になります。
✗ 2. 誤り
失調性歩行-腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症で特徴的なのは間欠跛行です。しばらく歩くと下肢のしびれ・脱力が出て歩けなくなり、前屈や座位で休むと再び歩けるようになります。失調性歩行は小脳障害や脊髄後索障害でみられ、足を広げてふらつく開脚・酩酊様の歩行です。
✗ 3. 誤り
分回し歩行-脳性麻痺
分回し歩行は痙性片麻痺の代表で、脳血管障害後にみられます。麻痺側の膝が伸びたまま尖足位になるため、下肢を外側に回して振り出します。脳性麻痺(痙直型両麻痺)で典型的なのは、股内転筋の痙縮により両膝が内側で交差するはさみ状歩行です。
ポイント
  • 鶏歩=下垂足=総腓骨(腓骨)神経麻痺。前脛骨筋が働かない。
  • 大腿神経麻痺=大腿四頭筋麻痺=膝折れ。鶏歩とは別物。
  • トレンデレンブルグ歩行=中殿筋不全。変形性股関節症、発育性股関節形成不全、上殿神経麻痺で出る。両側性ならアヒル歩行。
  • 分回し歩行=痙性片麻痺(脳血管障害後)、はさみ状歩行=脳性麻痺の痙直型両麻痺。
  • 間欠跛行は前屈で回復すれば腰部脊柱管狭窄症、立ち止まるだけで回復すれば閉塞性動脈硬化症を疑う。
比較表
異常歩行働かない筋・障害される機能代表的な原因
鶏歩前脛骨筋の麻痺(下垂足)総腓骨(腓骨)神経麻痺
膝折れ(大腿四頭筋歩行)大腿四頭筋の麻痺大腿神経麻痺
トレンデレンブルグ歩行中殿筋の機能不全変形性股関節症、発育性股関節形成不全、上殿神経麻痺
分回し歩行痙縮による膝伸展・尖足脳血管障害後の痙性片麻痺
はさみ状歩行股内転筋の痙縮脳性麻痺(痙直型両麻痺)
失調性歩行平衡機能・深部感覚の障害小脳障害、脊髄後索障害
間欠跛行馬尾・神経根の血流障害腰部脊柱管狭窄症(前屈で回復)
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