学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 外科学概論 ▸ §20 臨床実地問題 / QJ30P056
理由で解く 柔道整復師
受傷直後は歩けていた若年男性が、時間をおいて冷汗・顔面蒼白・低血圧・頻脈をきたした経過は、腹腔内出血による出血性(循環血液量減少性)ショックとして考えるのが妥当である。
右側腹部の打撲では肝臓や右腎など実質臓器の損傷が起こりうる。これらの損傷は、いったん被膜下に血腫がとどまって症状に乏しい時期があり、後から被膜が破れて急速な出血に転じる「遅発性」の経過をとることがある。本例が来院時に意識清明・自立歩行可能でありながら待機中に急変したのは、この二相性の経過に合致する。循環血液量が減ると交感神経が代償的に働き、心拍数を上げ末梢血管を収縮させるため、頻脈と冷汗・顔面蒼白・四肢冷感という「冷たいショック」の所見がそろう。ショック指数(脈拍数÷収縮期血圧)は126÷60=約2.1で、これは循環血液量の大きな喪失を示唆する値である。対応としては、太い静脈路を2本確保して急速輸液・輸血を行いながら、FASTや造影CTで出血源を確認し、動脈塞栓術や開腹手術による止血につなげる。
| ショックの型 | 機序 | 末梢の皮膚 | 手がかりとなる所見 |
|---|---|---|---|
| 循環血液量減少性(出血性) | 血液・体液の喪失 | 冷たい・蒼白・湿潤 | 外傷歴、頻脈、ショック指数の上昇 |
| 心原性 | ポンプ機能の破綻 | 冷たい | 頸静脈怒張、下腿浮腫、肺うっ血、心疾患の既往 |
| 心外閉塞・拘束性 | 心臓への流入・流出の閉塞 | 冷たい | 緊張性気胸、心タンポナーデ、肺塞栓 |
| 血液分布異常性(アナフィラキシー) | 血管拡張・透過性亢進 | 温かい・紅潮 | 抗原曝露、蕁麻疹、喘鳴、喉頭浮腫 |
| 血液分布異常性(敗血症性) | 血管拡張 | 初期は温かい | 感染巣、発熱または低体温 |
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