学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §5 総論 骨・関節の損傷 / QJ30P058

理由で解く 柔道整復師

QJ30P058 整形外科学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問58
問題
小児骨折で誤っているのはどれか。
選択肢
1 回旋変形は自家矯正される。
2 若木骨折は特徴的な骨折である。
3 骨端線損傷は剪断力が加わることで起こりやすい。
4 ソルター・ハリス分類のタイプⅡでは予後は良い。
解答
正解1(回旋変形は自家矯正される。)
解説

小児の骨は自家矯正(リモデリング)能に富むが、矯正できる変形とできない変形がはっきり分かれる。長軸まわりのねじれである回旋変形は自家矯正されないため、1が誤りで、これが答えとなる。

小児骨は骨膜が厚く血行に富み、骨端軟骨(成長軟骨板)が残っているため、成長とともに骨が作り替えられて変形が修正されていく。矯正が期待できるのは、側方転位と、関節の運動方向と一致する屈曲(角状)変形である。側方転位は骨幹横径のおよそ1/2〜1程度までは矯正され、短縮転位は骨の過成長によって代償される。一方、回旋変形は成長方向と無関係で元へ戻す力が働かず、関節運動方向と異なる方向の角状変形(内反・外反変形など)も矯正されにくい。矯正力は年齢が低いほど、また骨端線に近いほど大きく、逆に思春期近くの骨幹部ではほとんど期待できない。したがって整復では回旋転位を最優先で確実に戻し、以後の固定と経過観察でも回旋が残っていないかを繰り返し確認する。

✓ 1. 誤っている(これが答え)
回旋変形は自家矯正される。
自家矯正が働くのは側方転位と、関節運動方向と一致する屈曲(角状)変形であり(短縮転位は骨の過成長で代償される)、回旋変形はそのまま残存する。整復の段階で回旋を完全に戻しておくことが、後の機能障害を防ぐ最大のポイントになる。
✗ 2. 正しい(設問の答えではない)
若木骨折は特徴的な骨折である。
小児の骨は有機成分の割合が高く弾力に富み、骨膜も厚く強靱である。そのため一側の皮質だけが折れて反対側が連続性を保つ若木骨折(不全骨折)が生じやすく、竹節状(隆起)骨折や骨膜下骨折とともに小児に特徴的な骨折とされる。
✗ 3. 正しい(設問の答えではない)
骨端線損傷は剪断力が加わることで起こりやすい。
骨端軟骨板は肥大細胞層が力学的に弱く、圧迫よりも剪断力や剥離(裂離)力に対する抵抗が低い。小児では関節部に側方や捻れの力が加わると、靱帯より先に骨端線が破綻することが多い。
✗ 4. 正しい(設問の答えではない)
ソルター・ハリス分類のタイプⅡでは予後は良い。
タイプⅡは骨端線に沿った離開に骨幹端の三角骨片(サーストン・ホランド片)を伴う型で、最も頻度が高い。骨端軟骨の増殖層が温存され骨折線が関節面にも及ばないため、良好な整復が得られれば成長障害を残しにくい。
ポイント
  • 自家矯正される=側方転位(骨幹横径のおよそ1/2〜1程度まで)と、関節運動方向と一致する屈曲(角状)変形。短縮転位は骨の過成長によって代償される。
  • 自家矯正されない=回旋変形と、関節運動方向と異なる方向の角状変形(内反・外反変形)。整復で最優先に戻すのは回旋転位。
  • 矯正力は年齢が低いほど、骨端線に近いほど大きい。思春期近く・骨幹部では期待しない。
  • 若木骨折・竹節状(隆起)骨折・骨膜下骨折が小児に特徴的な不全骨折。厚い骨膜が転位を防ぐ一方、整復の妨げにもなる。
  • 骨端軟骨は剪断・裂離力に弱く、同じ外力なら靱帯損傷より骨端線損傷が起こりやすい。
  • ソルター・ハリス分類はⅠ・Ⅱが予後良好、Ⅲ・Ⅳは関節面に及び、Ⅴ(圧迫損傷)が最も予後不良。
比較表
転位・変形の種類自家矯正ポイント
側方転位される骨幹横径のおよそ1/2〜1程度までは矯正が期待できる
屈曲(角状)転位
※関節運動方向と一致
される骨端線に近いほど、年齢が低いほど矯正力が大きい
短縮転位代償される骨の過成長によって長さの差が埋められる
屈曲(角状)転位
※関節運動方向と異なる(内反・外反)
されにくい関節運動面から外れた変形は残りやすい
回旋転位されない整復時に必ず完全に戻す。残せば機能障害となる
ソルター・ハリス分類骨折線の走り方予後
骨端線だけで離開する良好
骨端線+骨幹端の三角骨片(最も多い)良好
骨端線+骨端を通り関節面に達するやや不良(関節面の正確な整復が必要)
骨端から骨端線を越えて骨幹端まで縦に及ぶ不良(骨橋を形成し成長障害を残しやすい)
骨端線が長軸方向に圧挫される最も不良(受傷直後は診断が難しく、後に成長障害で判明)
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