学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §20 部位別各論 手・手指 / QJ28P059

理由で解く 柔道整復師

QJ28P059 整形外科学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問59
問題
関節リウマチの手指変形と原因となる関節の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 尺側変位手根中手関節
2 下垂指変形遠位橈尺関節
3 ボタン穴変形近位指節間関節
4 スワンネック変形-中手指節関節
解答
正解1(尺側変位手根中手関節)
解説

関節リウマチの手指変形は「どの関節の滑膜炎が支点を壊したか」で形が決まります。尺側偏位(尺側変位)は中手指節(MP)関節で起こる変形であり、手根中手(CM)関節との組合せは誤りです。

関節リウマチでは滑膜炎が関節包・靱帯・腱を緩ませ、日常の力の方向に沿って指が崩れていきます。MP関節では橈側の側副靱帯・矢状索が緩み、屈筋腱の走行と握りの力によって基節骨が掌側・尺側にずれ、指全体が小指側を向く尺側偏位(尺側変位)となります。PIP関節で中央索が伸びて側索が掌側に滑れば、PIP屈曲・DIP過伸展のボタン穴(ボタンホール)変形。逆にMP関節の掌側亜脱臼と内在筋の短縮によりPIPが過伸展・DIPが屈曲すればスワンネック変形です。手指の変形をみたら「支点になっている関節はどこか」を先に考えると整理できます。

✓ 1. 誤っている組合せ(これが答え)
尺側変位手根中手関節
尺側偏位(尺側変位)は中手指節(MP)関節の滑膜炎による橈側側副靱帯・矢状索の破綻で生じ、基節骨が尺側・掌側へずれる変形です。手根中手(CM)関節の変形ではないため、組合せとして誤りであり、これが正解です。
✗ 2. 正しい組合せ(答えではない)
下垂指変形遠位橈尺関節
下垂指(drop finger)は指の自動伸展ができなくなる状態で、遠位橈尺関節の滑膜炎により尺骨頭が背側に突出し、その上を走る小指伸筋・総指伸筋が摩耗断裂して起こります(Vaughan-Jackson症候群)。尺側の指から順に伸展できなくなるのが特徴で、組合せは適切です。
✗ 3. 正しい組合せ(答えではない)
ボタン穴変形近位指節間関節
ボタン穴変形はPIP関節屈曲・DIP関節過伸展を呈します。PIP関節の滑膜炎で伸筋腱中央索が伸びて破綻し、側索が関節軸より掌側へ滑ることが原因なので、近位指節間関節との組合せは適切です。
✗ 4. 正しい組合せ(答えではない)
スワンネック変形-中手指節関節
スワンネック変形はPIP関節過伸展・DIP関節屈曲を呈しますが、その起点はMP関節の滑膜炎・掌側亜脱臼と、それに伴う骨間筋など内在筋の短縮(内在筋緊縮)です。中手指節関節が原因関節という組合せは教科書的に適切とされます。
ポイント
  • 尺側偏位(尺側変位)=MP関節の変形。基節骨が掌側・尺側へずれる。
  • ボタン穴変形=PIP屈曲+DIP過伸展、原因はPIP関節(中央索の破綻)。
  • スワンネック変形=PIP過伸展+DIP屈曲、起点はMP関節と内在筋短縮。
  • 下垂指=遠位橈尺関節の尺骨頭背側脱臼による伸筋腱皮下断裂(Vaughan-Jackson症候群)。
  • 「指が伸びない」時、腱断裂か関節拘縮かで対応が変わる。腱断裂は早期の手外科紹介が必要。
比較表
変形PIPDIP原因関節・機序
ボタン穴変形屈曲過伸展PIP関節:中央索破綻、側索が掌側へ
スワンネック変形過伸展屈曲MP関節:掌側亜脱臼+内在筋短縮
尺側偏位MP関節:橈側側副靱帯・矢状索の破綻
下垂指遠位橈尺関節:尺骨頭背側脱臼→伸筋腱断裂
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