学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §8 疾患別各論 感染性疾患 / QJ24P060

理由で解く 柔道整復師

QJ24P060 整形外科学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問60
問題
化膿性脊椎炎で正しいのはどれか。
選択肢
1 頸椎ではまれである。
2 小児に多い。
3 流注膿瘍が合併する。
4 疼痛は軽度である。
解答
正解1(頸椎ではまれである。)
解説

化膿性脊椎炎の好発部位は腰椎が最も多く、次いで胸椎で、頸椎はまれである。正答は1。

多くは黄色ブドウ球菌が血行性に椎体へ運ばれて発症する。糖尿病、透析、悪性腫瘍、ステロイド使用、高齢といった免疫の落ちた状態が背景にあり、尿路感染や皮膚感染、血管カテーテルが感染源となる。椎体終板から椎間板へ炎症が広がるため、安静にしていても続く激しい腰背部痛と棘突起の叩打痛が中心症状となり、CRPや赤沈の上昇をみる。発熱を伴うことが多いが、はっきりしない例も半数近くあり、CRP・赤沈の上昇のほうが鋭敏である。「熱がないから感染ではない」と考えると見逃す。単純X線で椎体終板の不整や椎間腔の狭小化が現れるのは発症から2〜3週後であり、早期診断にはMRIが有用である。安静時痛が強く改善しない腰背部痛では、発熱の有無にかかわらず、施術を続けるのではなく速やかに医療機関の血液検査・画像評価につなぐ。

✓ 1. 正しい
頸椎ではまれである。
好発部位は腰椎が最多で、次いで胸椎、頸椎は少ない。椎体の血流が豊富で荷重の大きい下位脊椎に細菌が定着しやすいためと説明される。ただし頸椎に生じた場合は硬膜外膿瘍から四肢麻痺に進む危険があり、まれでも重篤になりうる。
✗ 2. 誤り
小児に多い。
実際には50〜70歳代を中心とした中高年・高齢者に多い。糖尿病、透析、担癌状態、免疫抑制薬の使用など、感染に対する抵抗力が落ちた状況が典型的な背景である。小児に多い疾患ではない。
✗ 3. 誤り
流注膿瘍が合併する。
流注膿瘍(寒性膿瘍が腸腰筋などに沿って離れた部位まで下降するもの)は、結核性脊椎炎すなわち脊椎カリエスの特徴的所見である。化膿性脊椎炎でも硬膜外膿瘍や腸腰筋膿瘍は起こりうるが、「流注膿瘍」と問われたら結核性を指すと考えてよい。
✗ 4. 誤り
疼痛は軽度である。
疼痛はむしろ強い。体動時だけでなく安静時にも続き、夜間に眠れないほどのことがある。棘突起の叩打痛が明瞭な点も特徴で、姿勢や動作で軽快する機械的腰痛との重要な鑑別点になる。発熱が目立たない例でも、この強い安静時痛は残ることが多い。
ポイント
  • 起因菌は黄色ブドウ球菌が最多で、経路は血行性感染
  • 好発部位は腰椎>胸椎>頸椎
  • 中高年〜高齢者に多く、糖尿病・透析・免疫低下が背景
  • 強い安静時痛+叩打痛+炎症反応(CRP・赤沈)上昇。発熱は必発ではなく無熱例も半数近い
  • 流注膿瘍は結核性脊椎炎(脊椎カリエス)の所見
  • 早期はX線で異常が出にくいのでMRIが有用。安静時痛が強ければ発熱がなくても医療機関へつなぐ
比較表
化膿性脊椎炎結核性脊椎炎(脊椎カリエス)
起因菌黄色ブドウ球菌が最多結核菌
経過急性〜亜急性慢性・緩徐
好発部位腰椎>胸椎>頸椎胸腰椎移行部
膿瘍硬膜外膿瘍・腸腰筋膿瘍流注膿瘍(寒性膿瘍)
変形比較的軽度椎体破壊による後彎(亀背)
発熱発熱を伴うことが多い(無熱例も少なくない)微熱・全身倦怠
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