学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §8 疾患別各論 感染性疾患 / QJ34P058

理由で解く 柔道整復師

QJ34P058 整形外科学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問58
問題
慢性骨髄炎で正しいのはどれか。
選択肢
1 骨打ち抜き像がみられる。
2 MRIで炎症の広がりがみられる。
3 瘻孔がある場合、血液検査で炎症反応が高値を示す。
4 抗菌薬投与で速やかに治癒する。
解答
正解2(MRIで炎症の広がりがみられる。)
解説

慢性骨髄炎では、骨内の炎症の広がりや軟部組織への波及をとらえるのにMRIが最も有用です。したがって2が正しい記述です。

慢性骨髄炎は、急性骨髄炎が遷延したり治療が不十分だったりして、感染が骨のなかにくすぶり続ける状態です。血流が絶たれた骨片(腐骨)が感染の温床として残り、その周囲を新生骨(骨柩)が包み込み、膿が皮膚へ抜ける道(瘻孔)ができるのが典型的な病態像です。腐骨には血流がないため抗菌薬が到達せず、薬物療法だけでは根治しません。治療の柱は病巣掻爬・腐骨摘出・持続洗浄などの外科的処置で、経過は長く、数年から数十年を経て再燃することもあります。柔道整復師としては、長引く骨部の疼痛・熱感・排膿を認めたら、施術を続けずに医療機関へ紹介することが求められます。

✓ 2. 正しい
MRIで炎症の広がりがみられる。
MRIは骨髄内の浮腫や膿瘍、周囲軟部組織への波及を鋭敏にとらえ、単純X線より早期に、かつ立体的に病変範囲を把握できます。手術で掻爬すべき範囲を決める際の判断材料になります。
✗ 1. 誤り
骨打ち抜き像がみられる。
骨打ち抜き像(punched out lesion)は多発性骨髄腫で頭蓋骨などにみられる、境界明瞭な円形の骨透亮像です。慢性骨髄炎で特徴的なのは腐骨・骨柩・骨硬化像・瘻孔であって、打ち抜き像ではありません。
✗ 3. 誤り
瘻孔がある場合、血液検査で炎症反応が高値を示す。
瘻孔から膿が排出されている間は内圧が逃げるため、CRPや白血球数は正常〜軽度上昇にとどまることが多くなります。むしろ瘻孔が閉じて膿がこもったときに急性増悪し、炎症反応が上昇します。「瘻孔がある=炎症反応高値」とは限らない点が要注意です。
✗ 4. 誤り
抗菌薬投与で速やかに治癒する。
腐骨や瘢痕組織は血流に乏しく、抗菌薬が病巣に届きません。薬物療法だけでは症状の鎮静化にとどまり、根治には腐骨摘出・掻爬・持続洗浄などの手術を要します。再燃を繰り返すことも多く、長期の経過観察が必要です。
ポイント
  • 慢性骨髄炎の三徴:腐骨(血流のない死んだ骨)・骨柩(それを包む新生骨)・瘻孔(排膿路)。
  • MRIは骨髄内炎症と軟部組織への波及の把握に有用。手術範囲の決定に使う。
  • 瘻孔が開いて排膿している間は炎症反応が上がりにくい。閉鎖すると急性増悪する。
  • 腐骨には血流がない → 抗菌薬だけでは治らない。外科的処置が治療の柱。
  • 骨打ち抜き像は多発性骨髄腫の所見。混同しない。
比較表
急性骨髄炎慢性骨髄炎
経過急激。発熱・激しい疼痛長期。疼痛は軽く再燃を繰り返す
炎症反応高値排膿時は軽度、瘻孔閉鎖で上昇
画像所見初期のX線は所見に乏しい/MRIが有用腐骨・骨柩・骨硬化像
治療早期の抗菌薬+ドレナージ腐骨摘出・掻爬など外科的処置が主体
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