学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §34 下腿骨骨幹部骨折の固定 / QJ33A038

理由で解く 柔道整復師

QJ33A038 必修問題

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問38
問題
下腿骨骨幹部骨折で起こりやすいのはどれか。
選択肢
1 過成長
2 骨壊死
3 コンパートメント症候群
4 ズデック (Sudeck) 骨萎縮
解答
正解3(コンパートメント症候群)
解説

下腿は骨・骨間膜・強い筋膜で仕切られた閉じた区画からなるため、骨幹部骨折では出血や腫脹で内圧が上がり、コンパートメント症候群を起こしやすくなります。

下腿には前方・外側・浅後方・深後方の4区画があり、いずれも伸展性の乏しい筋膜に囲まれています。骨折による出血と組織の腫脹で区画内圧が上昇すると、まず細い静脈と毛細血管が圧迫され、還流が滞ってさらに内圧が上がるという悪循環に入り、筋・神経の阻血に至ります。特徴は骨折の程度に不釣り合いな強い持続痛と、他動的に筋を伸ばしたときの激痛(前方区画なら足趾の他動屈曲で痛む)、しびれや感覚低下で、末梢の動脈拍動は最後まで触れることがあるため「脈があるから大丈夫」と判断しないことが重要です。固定後に痛みが増強する、しびれが出る、足趾を動かすと激しく痛むといった訴えがあれば、ただちに固定・包帯を緩めて患肢を心臓の高さに保ち、医師の診察につなげます。放置すればフォルクマン拘縮に相当する不可逆的な障害を残します。

✓ 3. 正しい
コンパートメント症候群
下腿は伸展性の乏しい筋膜に囲まれた4区画からなり、骨幹部骨折による出血・腫脹で内圧が容易に上昇します。強い持続痛や他動伸張時痛、しびれが出たら緊急対応が必要です。
✗ 1. 誤り
過成長
骨折後の骨端軟骨部の血流増加によって起こる現象で、小児の大腿骨骨幹部骨折で問題になります。成人の下腿骨骨幹部骨折で第一に想定する合併症ではありません。
✗ 2. 誤り
骨壊死
骨壊死は栄養血管が乏しく血行が絶たれやすい部位、すなわち大腿骨頭(頸部内側骨折)、距骨体部、手の舟状骨近位、上腕骨頭などで問題になります。下腿骨幹部は血行が比較的保たれます。
✗ 4. 誤り
ズデック (Sudeck) 骨萎縮
複合性局所疼痛症候群に伴う急速な骨萎縮で、橈骨遠位端骨折後の手部や足部で多くみられます。下腿骨幹部骨折に典型的な合併症とはされていません。
ポイント
  • 下腿は前方・外側・浅後方・深後方の4区画。伸びない筋膜に囲まれている。
  • 出血・腫脹→内圧上昇→静脈還流障害→阻血、という悪循環。
  • 骨折に不釣り合いな持続痛、他動伸張時の激痛、しびれが警告サイン。
  • 末梢動脈の拍動は残ることがある。触れても否定できない。
  • 疑ったら固定・包帯を緩め、患肢を挙上しすぎず心臓の高さに保ち、直ちに医師へ。
比較表
合併症起こりやすい骨折
コンパートメント症候群下腿骨骨幹部骨折、前腕骨骨折
過成長小児の大腿骨骨幹部骨折
骨壊死大腿骨頸部内側骨折、距骨頸部骨折、舟状骨骨折
ズデック骨萎縮橈骨遠位端骨折後の手部、足部
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