学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §19 肘関節後方脱臼の診察および整復 / QJ33A023

理由で解く 柔道整復師

QJ33A023 必修問題

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問23
問題
肘関節後方脱臼に併発しやすいのはどれか。
選択肢
1 肘頭骨折
2 上腕三頭筋損傷
3 上腕骨内側上顆骨折
4 肘関節外側側副靱帯損傷
解答
正解3(上腕骨内側上顆骨折)
解説

肘関節後方脱臼は過伸展+外反力で起こるため、内側で強く牽引される上腕骨内側上顆の剥離骨折を合併しやすくなります。

後方脱臼が起こる瞬間、肘には外反ストレスがかかり、内側側副靱帯(前斜走線維)と、内側上顆から起こる前腕屈筋・回内筋群がいっせいに引かれます。成長期では靱帯より骨端の方が弱いため、靱帯が切れる代わりに内側上顆が引き剥がされる剥離骨折となり、ときに剥がれた骨片が関節内に嵌入して整復を妨げます。したがって肘関節後方脱臼をみたら、整復の前後で内側上顆部の圧痛・腫脹を確認し、整復後に可動域が回復しない、あるいは弾発性抵抗が残る場合は骨片の関節内嵌入を疑って画像評価と医師への紹介につなげます。尺骨神経は内側上顆のすぐ後ろを走るため、手の小指側のしびれや筋力低下の有無もあわせて確認します。

✓ 3. 正しい
上腕骨内側上顆骨折
外反力によって内側側副靱帯と屈筋・回内筋群が内側上顆を強く牽引するため、剥離骨折を併発しやすくなります。骨片が関節内に入り込むと整復困難や整復後の可動域制限の原因になります。
✗ 1. 誤り
肘頭骨折
肘頭骨折は肘後面への直達外力や、上腕三頭筋の急激な牽引で単独に起こるのが典型です。後方脱臼では肘頭は上腕骨の後方へ滑り上がるだけで、折れる方向の力が集中しにくく、代表的な合併骨折とはされません。
✗ 2. 誤り
上腕三頭筋損傷
上腕三頭筋は脱臼時に緊張して前腕を後方へ引く役割を担いますが、筋腹や腱が断裂することはまれです。後方脱臼で必ずチェックする合併損傷とはいえません。
✗ 4. 誤り
肘関節外側側副靱帯損傷
外反力で引き伸ばされるのは内側の支持機構です。外側側副靱帯は外反時にはむしろ緩む側にあたるため、後方脱臼で第一に想定すべき合併損傷にはなりません。
ポイント
  • 後方脱臼の力学は「過伸展+外反」。引き伸ばされるのは内側。
  • 成長期は靱帯より骨端が弱く、内側上顆の剥離骨折になりやすい。
  • 骨片が関節内に嵌入すると整復困難・整復後の可動域制限を招く。
  • 整復前後に内側上顆の圧痛と、尺骨神経障害(小指側のしびれ)を確認する。
  • 骨片嵌入や神経症状を疑えば、その場で医師の診察・画像評価につなげる。
比較表
外力の方向引き伸ばされる側起こりやすい損傷
外反(後方脱臼時)内側内側側副靱帯損傷、上腕骨内側上顆剥離骨折
内反外側外側側副靱帯損傷、外側上顆部の損傷
後面への直達外力肘頭骨折
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