学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ32P117

理由で解く 柔道整復師

QJ32P117 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問117
問題
34歳の女性。ジムでチューブトレーニング中、右第2MP 関節が突然動かなくなり来所した。屈曲は可能だが伸展が不能であった。触診では同部の手掌橈側に圧痛がみられた。腫瘤や瘢痕はない。考えられるのはどれか。
選択肢
1 オーバーラッピングフィンガー
2 ロッキングフィンガー
3 マレットフィンガー
4 スナッピングフィンガー
解答
正解2(ロッキングフィンガー)
解説

第2MP関節が突然屈曲位のまま伸展できなくなり、手掌橈側に圧痛があって腫瘤や瘢痕はない――MP関節のロッキングフィンガーです。

MP関節のロッキングは、中手骨頭の掌側にある骨性の隆起や種子骨、掌側板の縁に側副靱帯(とくに副靱帯)が引っかかって外れなくなる現象です。示指に最も多く、特別な外傷がなくても日常動作や運動中に突然発症し、「屈曲はできるのに伸展だけができない」という一方向性の可動域制限を示すのが特徴です。引っかかりは中手骨頭の橈側で起こることが多く、本例の手掌橈側の圧痛と一致します。腫瘤や瘢痕がないので、腱の結節や皮下の瘢痕拘縮による伸展障害も考えにくい状況です。徒手的にはMP関節をいったんさらに屈曲させて牽引を加えながら伸展させることで整復できることが多く、整復後は無理な過伸展を避けるよう指導します。整復できない例や繰り返す例は医師に相談します。

✓ 2. 正しい
ロッキングフィンガー
突然発症、MP関節の屈曲は可能で伸展のみ不能、手掌(中手骨頭)橈側の圧痛、腫瘤なし――MP関節ロッキングの典型的な組み合わせです。示指に好発する点も本例に合致します。
✗ 1. 誤り
オーバーラッピングフィンガー
中手骨や指骨の骨折で回旋転位が残ったときに、指を握ると隣の指と重なってしまう変形のことです。骨折後の変形治癒を示す所見であり、外傷歴のない突然の伸展不能を説明するものではありません。
✗ 3. 誤り
マレットフィンガー
終止腱の断裂または末節骨背側の裂離骨折により、DIP関節が屈曲位で自動伸展不能となるものです。障害される関節がDIPであり、本例のMP関節とは高位が異なります。
✗ 4. 誤り
スナッピングフィンガー
いわゆる弾発指(ばね指)で、肥厚した屈筋腱の結節がA1腱鞘に引っかかり、屈曲位から伸ばすときにカクンと弾発します。多くは慢性の経過をとり、MP関節掌側の腱鞘部に圧痛と結節(腫瘤)を触れます。本例は突然発症で腫瘤がなく、弾発現象の記載もないため、ロッキングフィンガーのほうが適切です。
ポイント
  • MP関節ロッキング=屈曲は可能・伸展のみ不能。一方向性の制限が最大の手がかり。
  • 引っかかりの場所は中手骨頭掌側(橈側が多い)。だから手掌橈側に圧痛が出る。
  • 示指に好発し、突然発症する。腫瘤や瘢痕はない。
  • ばね指(スナッピングフィンガー)は慢性経過+結節(腫瘤)+弾発現象。ここで見分ける。
  • MP関節をさらに屈曲して牽引しつつ伸展すると整復できることが多い。整復不能例・反復例は医師へ。
比較表
用語障害される関節症状の形背景
ロッキングフィンガーMP関節屈曲可・伸展不能側副靱帯が中手骨頭掌側に引っかかる。突然発症
スナッピングフィンガー(ばね指)MP関節掌側(腱鞘)伸展時に弾発屈筋腱の結節とA1腱鞘の通過障害。慢性経過
マレットフィンガーDIP関節屈曲位で自動伸展不能終止腱断裂・末節骨背側の裂離骨折
オーバーラッピングフィンガー手指全体の並び握ると指が重なる骨折の回旋転位が残った変形治癒
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