学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ32P118

理由で解く 柔道整復師

QJ32P118 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問118
問題
14歳の男子。肥満体型。はっきりとした原因はなく、1か月位前から遊んでいるときに、右膝に痛みを感じるようになったため来所した。3日前から右膝部や股関節部の痛みが増強してきたと訴えている。腫脹、圧痛、熱感はみられないが、下肢の他動運動で股関節に屈曲制限がみられた。最も考えられるのはどれか。
選択肢
1 大腿骨肉腫
2 単純性股関節炎
3 大腿骨頭すべり症
4 腸腰筋膿瘍
解答
正解3(大腿骨頭すべり症)
解説

思春期の肥満体型の男子が「膝の痛み」を訴え、実際には股関節の他動運動が制限されている。この組合せが大腿骨頭すべり症を強く示唆する。

大腿骨頭すべり症は、成長期(おおよそ10〜16歳)に骨端線が力学的に弱くなり、骨頭が骨頸部に対して後内下方へずれていく疾患で、肥満体型の男子に多い。股関節の痛みは閉鎖神経を介した関連痛として大腿前面や膝に感じられるため、患者本人は膝の痛みだけを訴えることが多く、股関節が見落とされて受診が遅れやすい。局所の腫脹・熱感といった炎症所見に乏しい一方、股関節の他動運動では屈曲・内旋・外転が制限され、屈曲させると自然に外旋してしまうドレーマン徴候がみられる。ずれが進行すると骨頭壊死や軟骨融解、変形を残すため、疑った時点で荷重を避けさせ、直ちに整形外科へ紹介する。

✗ 1. 誤り
大腿骨肉腫
骨肉腫は大腿骨遠位など膝周囲に好発し、局所の腫脹・熱感・持続する疼痛(夜間痛)を伴うのが典型。本例は腫脹・圧痛・熱感がなく、股関節の他動屈曲制限という所見も説明できない。
✗ 2. 誤り
単純性股関節炎
幼児から学童(おおむね3〜10歳)に多く、感冒などの後に急に股関節痛と跛行が出現し、数日から2週間ほどで自然に軽快する。14歳・肥満体型・1か月続く経過という点が合わない。
✓ 3. 正しい
大腿骨頭すべり症
年齢(14歳)、肥満体型の男子、膝への関連痛で発症、炎症所見に乏しい、他動での股関節屈曲制限という所見がすべて合致する。進行を防ぐため荷重を避けて速やかに整形外科へつなぐ。
✗ 4. 誤り
腸腰筋膿瘍
発熱や炎症所見を伴い、疼痛を避けるため股関節は屈曲拘縮位をとって伸展が制限される。熱感がなく屈曲のほうが制限されている本例の所見とは合致しない。
ポイント
  • 大腿骨頭すべり症=思春期(10〜16歳)・肥満体型の男子に多く、骨頭が後内下方へずれる。
  • 膝や大腿前面の関連痛(閉鎖神経を介する)で発症し、股関節疾患と気づかれにくい。
  • 股関節は屈曲・内旋・外転が制限。屈曲させると外旋するドレーマン徴候。
  • 腫脹・熱感などの炎症所見に乏しいことが、単純性股関節炎や化膿性疾患との違い。
  • 進行すると骨頭壊死や変形を残すため、荷重を避けさせて直ちに整形外科へ紹介する。
比較表
単純性股関節炎ペルテス病大腿骨頭すべり症
好発年齢3〜10歳おおむね4〜10歳10〜16歳(思春期)
体型・背景先行感染が多い小柄で活動的な男児肥満体型の男子に多い
経過急性、数日〜2週で軽快数か月〜年単位で緩徐数週〜数か月で進行
訴えの場所股関節・鼠径部、跛行股関節痛・膝痛、跛行膝・大腿前面の関連痛が多い
可動域外転・内旋制限(疼痛性)外転・内旋制限屈曲・内旋・外転制限、ドレーマン徴候
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