学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §22 各論(軟部組織損傷) 上肢 / QJ32P096

理由で解く 柔道整復師

QJ32P096 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問96
問題
外傷性腕神経叢麻痺で正しいのはどれか。
選択肢
1 上位型麻痺ではウェイターズチップポジションがみられる。
2 下位型では橈骨神経、筋皮神経が傷害される。
3 節後損傷は全型で多くみられる。
4 節前損傷は予後良好である。
解答
正解1(上位型麻痺ではウェイターズチップポジションがみられる。)
解説

上位型(エルブ型・C5〜C6)の腕神経叢麻痺では、肩は内転・内旋、肘は伸展、前腕は回内、手関節は屈曲位という「ウェイターズチップポジション」を示す。

腕神経叢麻痺は損傷高位で症状が変わる。上位型(C5〜C6)は三角筋・棘上筋・棘下筋・上腕二頭筋・腕橈骨筋が麻痺し、肩の外転・外旋と肘屈曲・前腕回外ができなくなるため、腕が体側に垂れて内旋・回内した独特の肢位となる。下位型(クルンプケ型・C8〜T1)は手内在筋と手指屈筋が麻痺して鷲手を呈し、星状神経節が同時に障害されるとホルネル徴候(縮瞳・眼瞼下垂・眼球陥凹)を伴う。損傷部位は、神経根が脊髄から引き抜かれる節前損傷と、神経幹以下が損なわれる節後損傷に分けられ、節前損傷は自然回復が望めない。強い牽引外力による全型麻痺では節前損傷の割合が高く、神経移行術などが検討されるため、疑った時点で速やかに専門医へつなぐことが重要である。

✓ 1. 正しい
上位型麻痺ではウェイターズチップポジションがみられる。
C5〜C6の障害で肩外転・外旋筋と肘屈筋・回外筋が麻痺するため、肩内転・内旋、肘伸展、前腕回内、手関節屈曲の肢位となる。ウェイターがチップを受け取る手の形にたとえられる。
✗ 2. 誤り
下位型では橈骨神経、筋皮神経が傷害される。
下位型(C8〜T1)で主に障害されるのは尺骨神経と正中神経で、手内在筋・手指屈筋の麻痺による鷲手を生じる。橈骨神経・筋皮神経は上位〜中位の障害で症状が出る神経である。
✗ 3. 誤り
節後損傷は全型で多くみられる。
全型麻痺はオートバイ事故などの強い牽引外力で生じることが多く、神経根が脊髄から引き抜かれる節前損傷の割合が高い。全型で節後損傷が多いという記載は当てはまらない。
✗ 4. 誤り
節前損傷は予後良好である。
節前損傷は神経根が脊髄から引き抜かれた状態で神経の連続性が中枢側で断たれるため自然回復が期待できず、予後不良である。ホルネル徴候などを手掛かりに早期に専門医の評価につなぐ。
ポイント
  • 上位型(エルブ型・C5〜C6)=ウェイターズチップポジション。肩内転・内旋、肘伸展、前腕回内、手関節屈曲。
  • 下位型(クルンプケ型・C8〜T1)=鷲手。障害される末梢神経は尺骨神経・正中神経。ホルネル徴候を伴うことがある。
  • 節前損傷=神経根が脊髄から引き抜かれる損傷。自然回復せず予後不良。
  • 節後損傷=神経幹以下の損傷。回復の余地があり、予後は節前より良い。
  • 全型麻痺は強い牽引外力によることが多く、節前損傷の割合が高い。早期に専門医へ紹介する。
比較表
上位型(エルブ型)下位型(クルンプケ型)
高位C5〜C6C8〜T1
麻痺する筋三角筋・棘上筋・棘下筋・上腕二頭筋・腕橈骨筋手内在筋、手指屈筋
肢位・変形ウェイターズチップポジション鷲手
主に関わる末梢神経腋窩神経・筋皮神経・肩甲上神経尺骨神経・正中神経
随伴所見肩外側の感覚障害ホルネル徴候(節前損傷を示唆)
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。