学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §22 各論(軟部組織損傷) 上肢 / QJ32P081

理由で解く 柔道整復師

QJ32P081 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問81
問題
マレットフィンガーⅢ型で正しいのはどれか。
選択肢
1 裂離骨折である。
2 腫脹は軽度である。
3 屈曲強制で発生する。
4 DIP 関節伸展位で固定する。
解答
正解4(DIP 関節伸展位で固定する。)
解説

マレットフィンガー(槌指)は型ごとに受傷機序も損傷組織も異なるが、固定の原則は共通してDIP関節を伸展位に保つことである。Ⅲ型でもこの原則が当てはまる。

槌指は、Ⅰ型が終止腱(伸筋腱の末節骨背側付着部)の皮下断裂、Ⅱ型が末節骨基部背側の裂離骨折を伴うもの、Ⅲ型が末節骨基部の骨折で関節面の大きな部分が損なわれるもの、と整理される。Ⅰ型・Ⅱ型はボールが指先に当たるなどDIP関節への急な屈曲強制で発生するのに対し、Ⅲ型は過伸展と軸圧が加わって生じ、関節内骨折となるため腫脹・皮下出血が強く、関節の不安定性も出やすい。いずれの型でも末節骨を伸展位に保って伸展機構の連続性を確保するのが固定の基本で、DIP関節は軽度過伸展位、PIP関節は軽度屈曲位とし、数週間にわたり伸展位を途切れさせないことが治療成績を左右する。骨片の転位が大きく不安定なⅢ型では観血療法が選択されることもあるため、早期に医師の判断を仰ぐ。

✗ 1. 誤り
裂離骨折である。
終止腱に引かれて末節骨基部背側が引き剥がされる裂離骨折は、骨性槌指すなわちⅡ型の特徴。Ⅲ型は関節面の広い範囲を含む骨折で、腱付着部だけが剥がれる単純な裂離骨折とは区別される。
✗ 2. 誤り
腫脹は軽度である。
Ⅲ型は関節内の骨折を伴うため、腫脹・皮下出血は高度で疼痛も強い。腫脹が比較的軽く、外見上は末節が下垂するだけに見えることがあるのは腱性のⅠ型である。
✗ 3. 誤り
屈曲強制で発生する。
指先にボールが当たるなどの屈曲強制で起こるのはⅠ型・Ⅱ型。Ⅲ型はDIP関節に過伸展と軸圧が加わって関節面を巻き込む骨折となる点が、機序上の分かれ目である。
✓ 4. 正しい
DIP 関節伸展位で固定する。
DIP関節を伸展位(軽度過伸展位)に保つと伸展機構の緊張が保たれ、骨片や腱付着部が整復位に近づいて治癒しやすい。PIP関節は軽度屈曲位とし、固定は途中で伸展位を崩さないよう管理する。転位が大きい場合は観血療法の適応となるため、固定を行いつつ医師の診察につなぐ。
ポイント
  • Ⅰ型=終止腱の皮下断裂(腱性)、Ⅱ型=末節骨基部背側の裂離骨折(骨性)、Ⅲ型=関節面を含む末節骨基部の骨折。
  • Ⅰ型・Ⅱ型は屈曲強制、Ⅲ型は過伸展+軸圧。「機序が違う」ことが型を見分ける鍵。
  • 固定肢位はどの型もDIP関節伸展位(軽度過伸展位)+PIP関節軽度屈曲位。
  • 伸展位を一瞬でも崩すと再断裂・変形を招くため、固定の交換時も末節を支え続ける。
  • 関節面を大きく含み不安定なⅢ型は観血療法の適応となることがあり、早期に医師へ紹介する。
比較表
Ⅰ型Ⅱ型Ⅲ型
損傷終止腱の皮下断裂末節骨基部背側の裂離骨折関節面を含む末節骨基部の骨折
機序屈曲強制屈曲強制過伸展+軸圧
腫脹比較的軽度中等度高度・皮下出血を伴う
固定DIP伸展位DIP伸展位DIP伸展位(不安定なら観血療法)
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