学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §20 各論(脱臼) 下肢 / QJ32P094

理由で解く 柔道整復師

QJ32P094 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問94
問題
中足趾節関節の脱臼で正しいのはどれか。
選択肢
1 第5趾に好発する。
2 Z字型変形を呈する。
3 底側脱臼することが多い。
4 関節背側に開放創がみられる。
解答
正解2(Z字型変形を呈する。)
解説

中足趾節(MTP)関節の脱臼は母趾に好発し、背側脱臼が大多数です。MTP関節が過伸展、趾節間(IP)関節が屈曲するため、指趾全体がZ字型(ジグザグ)の形をとります。

受傷機転は、つまずいて足趾を強く背屈させる、あるいは母趾を突く形で軸圧と過伸展が同時に加わる場面です。中足骨頭に対して基節骨が背側へ移動すると、MTP関節は過伸展位で固定されます。すると母趾を屈曲させる長母趾屈筋は相対的に緊張し、IP関節を屈曲させます。この「MTPは反り返り、IPは曲がる」組合せが、外見上のZ字型変形(階段状・銃剣状とも表現される)をつくります。同時に、背側へ抜けた基節骨と入れ替わるように中足骨頭が底側の皮膚を内側から突き上げるため、皮膚が破れて開放性となる場合、その創は足底側に生じます。足底の創は荷重面であり感染リスクが高いので、開放創が疑われたら整復を試みず、創部を清潔に被覆して速やかに医師へ引き継ぎます。

✓ 2. 正しい
Z字型変形を呈する。
背側脱臼ではMTP関節が過伸展位に固定され、これに引きずられてIP関節が屈曲します。近位関節が反り返り遠位関節が曲がるという逆向きの角度が並ぶことで、側方から見た輪郭がZ字型(ジグザグ)になります。変形の形は関節の位置関係から必ず導けるので、丸暗記せず図を思い浮かべて再現できるようにしておくと確実です。
✗ 1. 誤り
第5趾に好発する。
好発するのは第1趾(母趾)です。母趾は他の足趾より太く長く、蹴り出しで最大の荷重を受け、つまずいた際に過伸展の力が集中します。第5趾は外側で外力を受けやすい位置にありますが、脱臼より骨折の頻度が高くなります。
✗ 3. 誤り
底側脱臼することが多い。
圧倒的に多いのは背側脱臼です。受傷機転が足趾の過伸展(背屈強制)であること、そしてMTP関節では底側に強靱な底側板(プレート)と種子骨・屈筋腱が控えていて底側への逸脱を防いでいることが理由です。弱い方向、すなわち背側へ抜けます。
✗ 4. 誤り
関節背側に開放創がみられる。
開放性となる場合、創は足底側にできます。基節骨が背側へ移動した分、残された中足骨頭が底側の皮膚を内側から突き破るからです。「骨が抜けた方向」ではなく「取り残された骨頭が押し出す方向」に創ができる、と理解すると混乱しません。
ポイント
  • MTP関節脱臼は第1趾(母趾)に好発し、背側脱臼が大多数。受傷機転は過伸展(背屈強制)。
  • 変形は Z字型:MTP過伸展+IP屈曲。関節の位置関係から形を再現できるようにする。
  • 底側には底側板・種子骨・屈筋腱があり底側への逸脱を防ぐ。だから背側に抜ける。
  • 開放創ができるのは足底側。中足骨頭が底側の皮膚を内側から突き上げるため。
  • 開放創が疑われる場合は整復を試みず、清潔に被覆して速やかに医師へ紹介する。
比較表
MTP関節背側脱臼(典型)MTP関節底側脱臼(まれ)
受傷機転足趾の過伸展・背屈強制足趾の強い底屈強制
変形MTP過伸展+IP屈曲=Z字型趾が底側へ突出
開放創の位置足底側(中足骨頭が突き上げる)背側
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