学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §20 各論(脱臼) 下肢 / QJ32P092

理由で解く 柔道整復師

QJ32P092 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問92
問題
股関節後方脱臼の整復障害の要因とならないのはどれか。
選択肢
1 骨盤骨骨折の合併
2 大腿骨頭靱帯の断裂
3 関節包裂孔部の狭小
4 骨頭と関節窩の間の筋の介在
解答
正解2(大腿骨頭靱帯の断裂)
解説

大腿骨頭靱帯は股関節脱臼でほぼ必ず断裂するが、切れても整復の妨げにはならない。答えは2。

股関節後方脱臼は、股関節屈曲・内転位で膝から大腿長軸方向に力が加わって起こる(ダッシュボード損傷が代表)。骨頭は後方の関節包を破って腸骨部または坐骨部へ転位する。整復を妨げるのは、破れた関節包の裂孔が骨頭を締めつけるボタンホール状態、外旋筋群などの軟部組織が骨頭と臼蓋の間に挟まる状態、そして寛骨臼後壁骨折や骨盤骨折で受け皿そのものが壊れて整復位が保てない状態である。一方、骨頭を臼底につないでいた靱帯が切れることは脱臼が成立した時点で当然に起きる現象で、切れれば骨頭を引き戻す抵抗はむしろ減る。

✓ 2. これが答え(要因とならない)
大腿骨頭靱帯の断裂
股関節脱臼では大腿骨頭靱帯はほぼ例外なく断裂し、それ自体は整復を妨げない。ただし靱帯内を走る大腿骨頭動脈の血流が絶たれるため、骨頭壊死のリスクという別の問題として押さえる。
✗ 1. 要因となる(答えではない)
骨盤骨骨折の合併
寛骨臼後壁の骨折片が骨頭の戻り道に残ったり、受け皿が欠けて整復位が保持できなくなる。骨折の合併が疑われる時点で徒手整復は行わず、直ちに医療機関へ搬送する。
✗ 3. 要因となる(答えではない)
関節包裂孔部の狭小
骨頭が抜け出た関節包の裂孔が狭くなり、骨頭を締めつけて戻れなくする(ボタンホール機構)。整復障害の代表例。
✗ 4. 要因となる(答えではない)
骨頭と関節窩の間の筋の介在
内閉鎖筋をはじめとする外旋筋群が骨頭と臼蓋の間に挟まると、機械的につかえて整復できない。
ポイント
  • 後方脱臼の肢位は股関節屈曲・内転・内旋で、患肢は短縮する。
  • 整復障害因子は「関節包裂孔部の狭小(ボタンホール)」「筋・軟部組織の介在」「骨折の合併(寛骨臼後壁・骨盤・大腿骨頭)」。
  • 大腿骨頭靱帯断裂は脱臼に必発。整復障害ではなく骨頭壊死の伏線として覚える。
  • 合併症は坐骨神経麻痺(下垂足、下腿外側~足背の感覚障害)、大腿骨頭壊死、外傷性股関節症。整復の前後で必ず神経所見をとる。
  • 早期整復が骨頭壊死の予防につながる。骨折合併や整復困難を疑えば固執せず、速やかに医師へ引き継ぐ。
比較表
要因整復障害になるか理由
関節包裂孔部の狭小なる骨頭を締めつけるボタンホール機構
筋(外旋筋群)の介在なる骨頭と臼蓋の間に挟まりつかえる
骨盤骨・寛骨臼骨折の合併なる骨片の介在と受け皿の破綻
大腿骨頭靱帯の断裂ならない脱臼に必発。抵抗はむしろ減る(骨頭壊死の要因)
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