学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §12 総論 後療法 / QJ32P073

理由で解く 柔道整復師

QJ32P073 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問73
問題
競技者外傷予防で相反神経支配を用いたのはどれか。
選択肢
1 PNFストレッチング
2 スタティックストレッチング
3 ダイナミックストレッチング
4 バリスティックストレッチング
解答
正解3(ダイナミックストレッチング)
解説

ストレッチングは「どの神経メカニズムで筋を緩めるか」と「自分で動かすのか他人に動かしてもらうのか」で仕分けると迷わない。主動筋を自分で収縮させて拮抗筋を伸ばすダイナミックストレッチングが、相反神経支配(相反抑制)を利用する方法である。

相反神経支配とは、主動筋の筋紡錘からのIa求心性入力が抑制性介在ニューロンを介して拮抗筋のα運動ニューロンを抑える仕組みで、一方の筋が収縮すると反対側の筋が反射的に緩む。ダイナミックストレッチングは関節を自動運動で反復して大きく動かすため、主動筋の収縮に伴って拮抗筋がこの抑制を受け、伸張されやすくなる。同時に筋温・体温が上がり神経筋の反応性も高まるので、競技前のウォーミングアップとして外傷予防に適する。これに対しスタティックストレッチングは、伸張反射を誘発しない速度でゆっくり伸ばして肢位を保持し、筋・腱の粘弾性の変化と自原抑制(ゴルジ腱器官を介するIb抑制)によって緩める方法で、自ら関節を動かす自動収縮を伴わない。PNFストレッチングは等尺性収縮の後に弛緩させて伸ばす手技が代表で、自原抑制を主体としつつ相反抑制を併用する手技もあるが、いずれも介助者の他動操作を前提とする。本問が問うのは「競技前の外傷予防として自ら関節を動かして行い、相反神経支配を利用する方法」であり、この条件をすべて満たすのはダイナミックストレッチングである。

✗ 1. 誤り
PNFストレッチング
ホールド・リラックス法のように、伸張位で等尺性収縮させてから力を抜いて伸ばす手技が代表で、ゴルジ腱器官を介したIb抑制(自原抑制)が主体となる。コントラクト・リラックス・アンタゴニストコントラクト法のように相反抑制を併用する手技も含まれるが、いずれも介助者の他動操作を前提とする方法であり、競技前に自ら関節を動かして行うという本問の条件には当たらない。
✗ 2. 誤り
スタティックストレッチング
反動をつけずゆっくり伸ばし、その肢位を20〜30秒ほど保持する方法。伸張反射を誘発しない速度で伸ばし、筋・腱の粘弾性の変化と自原抑制によって緩む。主動筋の自動収縮を使わない(自ら関節を動かさない)ため、相反神経支配を利用する方法には当たらない。運動後のクールダウンや柔軟性向上に向く。
✓ 3. 正しい
ダイナミックストレッチング
関節を自動運動で反復して動かすため、主動筋の収縮に伴い相反神経支配(相反抑制)で拮抗筋が緩み、可動域が広がる。筋温上昇と神経筋の賦活も同時に得られるので、競技前の外傷予防を目的としたウォーミングアップで用いられる。
✗ 4. 誤り
バリスティックストレッチング
反動やはずみをつけて勢いよく伸ばす方法。急激な伸張は筋紡錘を強く刺激して伸張反射を誘発し、伸ばしたいはずの筋がかえって収縮するため、筋損傷のリスクが高い。相反神経支配を利用する方法ではない。
ポイント
  • 相反神経支配(相反抑制)=主動筋が収縮すると拮抗筋が反射的に弛緩する仕組み。「自ら動かす」ストレッチングと結びつく。
  • ダイナミック=自動運動で反復、相反抑制を利用、競技前のウォーミングアップ向き。
  • スタティック=伸張反射を誘発しない速度でゆっくり保持。粘弾性の変化と自原抑制で緩み、主動筋の自動収縮は使わない。運動後や柔軟性改善に用いる。
  • PNF=等尺性収縮の後に弛緩させて伸ばす。自原抑制(Ib抑制)が主体で、相反抑制を併用する手技もあるが、いずれも介助者の他動操作を要する。
  • バリスティック=反動をつけるため伸張反射を誘発し、筋損傷のリスクが高い。
比較表
方法やり方主に使う神経機序使いどころ
ダイナミック自動運動で関節を反復して動かす相反神経支配(相反抑制)競技前のウォーミングアップ
スタティック反動なしでゆっくり伸ばし伸張位を保持伸張反射を誘発しない伸張+自原抑制(粘弾性の変化も関与)運動後・柔軟性向上
PNF等尺性収縮の後に弛緩させて伸ばす自原抑制(Ib抑制・ゴルジ腱器官)主体。相反抑制を併用する手技もある介助者のもとでの可動域改善
バリスティック反動・はずみをつけて伸ばす伸張反射を誘発(筋が収縮してしまう)損傷リスクが高く一般には推奨されない
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