学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §12 総論 後療法 / QJ32P072

理由で解く 柔道整復師

QJ32P072 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問72
問題
高齢者の外傷予防エクササイズで誤っているのはどれか。
選択肢
1 バランスエクササイズ
2 ハイパワーエクササイズ
3 エアロビクスエクササイズ
4 柔軟性の改善エクササイズ
解答
正解2(ハイパワーエクササイズ)
解説

この設問は「高齢者の外傷予防エクササイズとして誤っているもの」を選ぶ問題。高齢者の転倒・外傷予防で柱になるのはバランス・筋力・柔軟性・有酸素運動であり、瞬発的に大きな力を出させるハイパワーエクササイズは2が該当する。

高齢者の外傷の多くは転倒に由来し、転倒の背景にはバランス能力の低下、下肢筋力の低下、関節可動域の狭小化、持久力の低下が重なっている。だから予防プログラムは、足を踏み変える・片脚で立つといったバランス課題、椅子立ち上がりなど日常動作に近い低〜中強度の筋力課題、股関節や足関節の柔軟性、そして歩行を中心とした有酸素運動を、段階的に負荷を上げながら組み合わせる。一方で、最大挙上重量に近い負荷を一気に爆発的に挙げるような運動は、血圧の急上昇や不整脈、腱・筋の断裂、脊椎圧迫骨折のリスクを高め、予防のつもりが外傷の原因になりかねない。安全に進めるには、開始前に既往(心疾患・骨粗鬆症・整形外科疾患)と服薬を確認し、支持物のある環境で行い、痛みや息切れが出たら強度を下げる。転倒歴や失神歴がある場合は運動を始める前に医師の評価につなぐ。

✓ 2. これが不適切(正解)
ハイパワーエクササイズ
短時間に最大に近い力を発揮させる運動は、血圧の急上昇や運動器への過大な負荷を伴い、骨粗鬆症や動脈硬化を抱えることの多い高齢者では危険が上回る。筋力・パワーを高めたい場合でも、低〜中強度から回数と負荷を少しずつ増やす漸増方式をとり、動作速度も無理のない範囲にとどめる。
✗ 1. 適切(答えではない)
バランスエクササイズ
転倒予防の中核。片脚立位、タンデム歩行、重心移動などで姿勢制御を鍛える。手すりや壁など支持物のある環境で、まず安全を確保してから難度を上げる。
✗ 3. 適切(答えではない)
エアロビクスエクササイズ
歩行や水中運動などの有酸素運動は、持久力・心肺機能を保ち、活動量の低下による廃用を防ぐ。会話ができる程度の強度から始め、時間を延ばしていくのが安全。
✗ 4. 適切(答えではない)
柔軟性の改善エクササイズ
股関節・足関節の可動域が狭いと、つまずきからの立て直しができずに転倒しやすい。反動をつけないスタティックストレッチングで、下肢を中心に可動域を確保する。
ポイント
  • 高齢者の外傷予防の柱=バランス・筋力・柔軟性・有酸素運動の組合せ。
  • 筋力強化は低〜中強度から始め、回数と負荷を段階的に増やす(漸増負荷)。
  • 爆発的・最大努力のハイパワー運動は血圧上昇や腱・骨への過負荷を招き、予防の目的から外れる。
  • 開始前に既往(心疾患・骨粗鬆症)と服薬、転倒歴を確認し、支持物のある安全な環境で実施する。
  • 足関節・股関節の柔軟性はつまずき後の立て直しに直結する。
比較表
要素ねらい進め方
バランス姿勢制御・転倒回避支持物ありの片脚立位から段階的に難度を上げる
筋力下肢支持性・立ち上がり動作自体重〜低中強度で反復、漸増負荷
柔軟性可動域確保・つまずき防止反動をつけないスタティックストレッチング
有酸素持久力・廃用予防会話できる強度の歩行などから時間を延ばす
高パワー・最大努力血圧上昇・運動器損傷のリスクが大きく高齢者では避ける
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