学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §12 総論 後療法 / QJ32P071

理由で解く 柔道整復師

QJ32P071 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問71
問題
物理療法機器を用いた間欠的圧迫法の適応はどれか。
選択肢
1 肺水腫
2 心不全
3 リンパ浮腫
4 骨折の急性期
解答
正解3(リンパ浮腫)
解説

間欠的圧迫法は、カフで四肢を周期的に締めては緩め、静脈やリンパの還流を助けて貯留した液を中枢へ送り返す物理療法。したがって適応はリンパ浮腫のような「うっ滞による浮腫」であり、3が正しい。

仕組みは単純で、外から圧を加えている間に組織間液を近位へ押し出し、圧を抜いた間に末梢から液が流れ込む。この繰り返しで浮腫が減り、静脈血栓の予防にもなる。裏を返せば「静脈還流を一気に増やす」処置なので、心臓や肺がその負荷を受け止められない状態では行ってはならない。急性心不全・肺水腫、急性期の深部静脈血栓症、重度の末梢動脈疾患、局所の感染や活動性の出血、固定が不十分な骨折部などは禁忌にあたる。実施前には浮腫の性状(片側性か両側性か、圧痕の有無)、呼吸状態、皮膚の状態を確認し、心疾患や血栓が疑われるときは圧迫を行わず医師の評価につなぐ。リンパ浮腫でも医師の診断と指示のもと、圧迫療法・用手的リンパドレナージ・スキンケアと組み合わせて行うのが原則である。

✓ 3. 正しい
リンパ浮腫
リンパ管の輸送障害で組織間にたまった液を、外圧で中枢へ押し戻すという目的と手段が一致している。実施時は近位側のうっ滞を先に解除してから末梢を圧迫する、圧設定を守る、施行前後で周径を測って効果を記録する、といった手順が有効。
✗ 1. 誤り
肺水腫
肺にすでに水がたまっている状態で静脈還流を増やせば、肺うっ血をさらに悪化させる。呼吸困難・起坐呼吸・湿性ラ音などを認める場合は物理療法を行わず、速やかに医療機関へつなぐ。
✗ 2. 誤り
心不全
心臓のポンプ機能が落ちている状態では、戻ってくる血液量(前負荷)の増加に耐えられず症状を悪化させる。両下肢のむくみを訴える患者では心原性浮腫の可能性を念頭に置き、既往と全身状態を確認したうえで適応を判断する。
✗ 4. 誤り
骨折の急性期
骨折部が安定していない時期に外から周期的な圧を加えると、疼痛の増強や再転位を招くおそれがある。急性期は適切な固定・安静・冷却・挙上で腫脹を管理し、圧迫療法は骨癒合が進み医師の許可が得られてから検討する。
ポイント
  • 間欠的圧迫法の原理=周期的な外圧で静脈・リンパの還流を促し、貯留液を中枢へ戻す。
  • 代表的な適応=リンパ浮腫、静脈うっ滞性浮腫、深部静脈血栓症の予防。
  • 禁忌=急性心不全・肺水腫、急性期の深部静脈血栓症、重度末梢動脈疾患、局所感染・活動性出血、不安定な骨折。
  • 実施前に浮腫の性状と全身状態を確認し、心疾患や血栓が疑われれば行わず医師へつなぐ。
  • 効果判定は施行前後の周径測定で記録する。
比較表
状態可否理由
リンパ浮腫適応輸送障害でたまった液を中枢へ戻せる
静脈うっ滞性浮腫・血栓予防適応静脈還流を促し、うっ滞を減らす
心不全禁忌前負荷の増加に心臓が耐えられない
肺水腫禁忌肺うっ血をさらに悪化させる
骨折の急性期禁忌疼痛増強・再転位のおそれ
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