学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §15 各論(骨折) 頭部・体幹 / QJ32P074

理由で解く 柔道整復師

QJ32P074 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問74
問題
下顎骨骨折で誤っているのはどれか。
選択肢
1 20歳代に好発する。
2 咬合不全を残しやすい。
3 下顎枝部では開放性が多い。
4 体部では直達外力によるものが多い。
解答
正解3(下顎枝部では開放性が多い。)
解説

この設問は「下顎骨骨折で誤っているもの」を選ぶ問題。下顎枝は咬筋と内側翼突筋に厚く挟まれ、口腔粘膜からも離れているため開放性にはなりにくい。開放性が多いのは歯列のある体部・オトガイ部であり、3が誤りである。

下顎骨は顔面で唯一可動する骨で、前方から力を受けると力の伝わる先である関節突起(下顎頭)部や下顎角部にも骨折が及ぶ。好発部位は下顎体(正中・オトガイ部)、関節突起部、下顎角部で、これらは歯槽や口腔粘膜と近いため、骨折線が歯の周囲や粘膜に達すると口腔と交通した開放骨折となり、感染のリスクが上がる。これに対し下顎枝は厚い咀嚼筋に覆われて外力が伝わりにくく、骨折しても筋の支えで転位が少なく、皮膚・粘膜が破れにくい。診察では咬合のずれ(咬合不全)、開口障害、下歯槽神経領域(下唇・オトガイ)のしびれ、口腔内の出血や粘膜裂創を確認し、骨折を疑えば無理に動かさず、下顎を支える固定を行って歯科口腔外科・口腔外科へ紹介する。

✓ 3. これが誤り(正解)
下顎枝部では開放性が多い。
下顎枝は咬筋と内側翼突筋に前後から挟まれ、歯列や口腔粘膜からも離れているため、骨折しても皮膚・粘膜が破れにくく転位も少ない。開放性となりやすいのは歯や歯槽を含む体部・オトガイ部の骨折で、こちらは口腔内と交通して感染を起こしやすい。
✗ 1. 正しい記述(答えではない)
20歳代に好発する。
スポーツ・転倒・交通事故・けんかなど、顔面に外力を受ける機会が多い若年成人(とくに男性)に多い。受傷機転の聴取は、他の顔面骨折や頭部外傷の合併を見落とさないためにも重要。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
咬合不全を残しやすい。
下顎骨は咀嚼筋に引かれて骨片が転位しやすく、わずかなずれでも歯の噛み合わせに直結する。整復が不十分だと咬合不全や開口障害を残すため、専門的な整復・固定が必要になる。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
体部では直達外力によるものが多い。
下顎体は前方に突出して露出しているため、殴打や転倒などで直接打撃を受けて折れることが多い。一方、オトガイへの外力が離れた部位に伝わって関節突起部が折れるのは介達外力による骨折の典型。
ポイント
  • 下顎骨骨折の好発部位=下顎体(正中・オトガイ)、関節突起部、下顎角部。20歳代の男性に多い。
  • 体部は直達外力、関節突起部はオトガイへの外力が伝わる介達外力で折れやすい。
  • 歯列・口腔粘膜に近い体部・オトガイ部は開放性(口腔内交通)になりやすく、感染に注意。
  • 下顎枝は咬筋・内側翼突筋に覆われて転位が少なく、開放性になりにくい。
  • 咬合不全・開口障害・下唇のしびれを確認し、疑えば固定のうえ口腔外科へ紹介する。
比較表
部位主な外力特徴
下顎体・オトガイ部直達外力開放性になりやすい、咬合不全を残しやすい
関節突起(下顎頭)部介達外力(オトガイ打撲)開口障害、下顎の偏位を生じやすい
下顎角部直達/介達智歯の存在が骨折の弱点になりうる
下顎枝部直達(まれ)厚い咀嚼筋に覆われ転位少なく、開放性になりにくい
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