学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §15 各論(骨折) 頭部・体幹 / QJ32P075

理由で解く 柔道整復師

QJ32P075 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問75
問題
肋骨骨折で誤っているのはどれか。
選択肢
1 介達外力では胸郭内方凸の変形となる。
2 合併症に胸壁動揺がある。
3 第5~9肋骨に好発する。
4 小児では虐待を考える。
解答
正解1(介達外力では胸郭内方凸の変形となる。)
解説

この設問は「肋骨骨折で誤っているもの」を選ぶ問題。骨折端が胸腔側(内方)へ突出するのは直達外力の場合で、介達外力では外方凸となる。したがって1が誤りである。

肋骨は弓状に湾曲した骨なので、力の加わり方で折れ方と骨折端の向きが決まる。棒などで直接打たれる直達外力では、打たれた点が内側へたわんで折れるため骨折端は内方(胸腔側)を向き、胸膜・肺を傷つけて気胸・血胸を起こす危険が高い。これに対し胸郭を前後や左右から挟むように圧迫される介達外力では、弯曲が強まって外側へ張り出す形で折れるため骨折端は外方を向き、胸腔内臓器を損傷しにくい。臨床では、深呼吸・咳・体動で増強する限局痛と、離れた部位から胸郭を圧迫すると骨折部が痛む介達痛が手がかりになる。呼吸困難、皮下気腫、奇異呼吸(吸気で胸壁が陥凹する)を認めたら、その場で固定して速やかに医療機関へつなぐ。

✓ 1. これが誤り(正解)
介達外力では胸郭内方凸の変形となる。
介達外力(胸郭の圧迫)では骨は外方へ張り出して折れるため、骨折端は外方凸となり胸腔内臓器を傷つけにくい。内方凸となって胸膜・肺損傷の危険が高いのは直達外力による骨折。外力の種類と骨折端の向きが逆になっている点が誤り。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
合併症に胸壁動揺がある。
連続する複数本の肋骨がそれぞれ2か所で折れると、その部分が胸郭から切り離されて奇異呼吸を示す(フレイルチェスト)。換気が障害されるため緊急性が高く、直ちに医療機関での対応が必要になる。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
第5~9肋骨に好発する。
第1・2肋骨は鎖骨や肩甲骨に守られ、第11・12肋骨は浮遊肋で可動性が大きく力を逃がせる。中位の肋骨は固定されていて弯曲も大きいため折れやすい。第1・2肋骨骨折は大きな外力を意味し、他臓器損傷の合併を疑う。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
小児では虐待を考える。
小児の肋骨は弾力に富み容易には折れない。とくに後方肋骨の多発骨折や時期の異なる骨折が並存する場合は、説明のつかない受傷として虐待を念頭に置き、所見を客観的に記録して速やかに医療機関・関係機関へつなぐ。
ポイント
  • 直達外力=骨折端が内方凸。胸膜・肺損傷(気胸・血胸)の危険が高い。
  • 介達外力(胸郭圧迫)=骨折端が外方凸。胸腔内臓器は損傷しにくい。
  • 好発は第5〜9肋骨。第1・2肋骨骨折は強大な外力を示し他臓器損傷を疑う。
  • 連続肋骨の二重骨折=胸壁動揺(フレイルチェスト)。奇異呼吸を見たら緊急対応。
  • 小児の肋骨骨折、とくに多発・後方・新旧混在では虐待の可能性を考え、記録して連携する。
比較表
外力骨折端の向き合併損傷の危険
直達外力(打撲など)内方凸(胸腔側)気胸・血胸・肺損傷の危険が高い
介達外力(胸郭の圧迫)外方凸胸腔内臓器の損傷は少ない
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