学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / リハビリテーション医学 ▸ §9 臨床実地問題 / QJ32P023
理由で解く 柔道整復師
実際に食物や水分を用いる直接嚥下訓練の大前提は「安定して覚醒し、指示が入ること」である。Japan Coma Scale(JCS)10 は刺激しないと覚醒を保てない状態で誤嚥・窒息の危険が高く、この段階では開始すべきでない。
嚥下は咽頭期こそ反射性だが、食物を口に取り込み、咀嚼し、飲み込むタイミングを合わせる過程は随意的で、意識レベルに強く依存する。直接訓練の一般的な開始条件は、①全身状態と呼吸・循環が安定していること、②JCS 1桁程度の覚醒が保たれ、座位で30分程度起きていられること、③指示に従えること、④著明な誤嚥がなく口腔内が清潔であること、⑤誤嚥したときに喀出できる咳の力があること、である。JCS 10 は「普通の呼びかけで容易に開眼する」=II桁(刺激すると覚醒するが刺激をやめると眠り込む)に相当し、②③を満たさない。本症例は右中大脳動脈領域の脳梗塞で意識レベルの低下を伴っており、まずは口腔ケア、嚥下体操、アイスマッサージ(冷圧刺激)、頸部・体幹のポジショニングなどの間接訓練(食物を用いない訓練)で機能と安全を整える。覚醒が改善したら、反復唾液嚥下テストや改訂水飲みテスト、必要に応じて嚥下造影(VF)・嚥下内視鏡(VE)で安全性を確認したうえで直接訓練へ移行する。
| 項目 | 間接訓練(基礎訓練) | 直接訓練(摂食訓練) |
|---|---|---|
| 食物の使用 | 使わない | 実際に食物・水分を使う |
| 主な内容 | 口腔ケア、嚥下体操、アイスマッサージ、ブローイング、頭部挙上訓練 | 姿勢・食形態・一口量を調整した実際の摂取、複数回嚥下、交互嚥下 |
| 意識レベル | 意識レベルが低くても口腔ケア等から実施可能 | JCS 1桁で安定した覚醒が必要 |
| 誤嚥のリスク | 低い | あるため、事前評価と条件設定が必須 |
| 本症例(JCS 10) | まずここから開始する | 覚醒が改善し評価で安全を確認してから |
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