学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / リハビリテーション医学 ▸ §9 臨床実地問題 / QJ33P023
理由で解く 柔道整復師

左上腕の骨折後に左手の運動麻痺が残存——上腕骨の後面を回る橈骨神経の麻痺(下垂手)が典型である。手関節を背屈位に保持する3の手背屈装具が適応となる。
橈骨神経は上腕骨の後面を橈骨神経溝(らせん溝)に沿って外下方へ回り込むため、上腕骨骨幹部の骨折では骨片や腫脹によって直接ダメージを受けやすい(骨幹部遠位1/3の骨折はHolstein-Lewis骨折と呼ばれ、とくに橈骨神経麻痺の合併で知られる)。麻痺すると手関節の背屈、MP関節の伸展、母指の外転・伸展ができなくなり、手が力なく垂れる下垂手(drop wrist)となる。手指を曲げる屈筋群(正中・尺骨神経支配)は残っているので、握る力自体はあるのに手関節が固定できないため、腱が有効に働かず物をつかめない。そこで手関節を軽度背屈位に保持してやると、残存する屈筋群が本来の張力を発揮でき、握り動作が実用レベルに戻る。同時に手関節屈曲位での拘縮や伸筋腱の過伸長を防ぐ意味もある。橈骨神経麻痺は牽引・圧迫による一過性のものなら数か月で回復することが多いので、回復を待つ間は装具で肢位を守りながら、他動運動で関節可動域を維持していくのが基本方針となる。
| 装具 | 主な対象 | 特徴的な変形・障害 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 把持装具 | C6頸髄損傷 | 手指の随意運動が消失、手関節背屈は残存 | 背屈の力をリンクでつまみ動作に変換 |
| 短対立装具 | 正中神経麻痺 | 猿手(母指対立不能・母指球萎縮) | 母指を対立位に保持 |
| 手背屈装具 | 橈骨神経麻痺 | 下垂手(手関節背屈・手指伸展不能) | 手関節を背屈位に保持し把持を可能にする |
| ナックルキャスト | 尺骨神経麻痺 | 鷲手(MP過伸展・IP屈曲) | MP関節の過伸展を防ぎ軽度屈曲位に保つ |
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