学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §7 リハビリテーションの実際 / QJ32P022

理由で解く 柔道整復師

QJ32P022 リハビリテーション医学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問22
問題
認知症と症状の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 アルツハイマー型認知症-物盗られ妄想
2 レビー小体型認知症-同じ動作を繰り返す
3 脳血管性認知症-幻視
4 前頭側頭葉変性症-感情失禁
解答
正解1(アルツハイマー型認知症-物盗られ妄想)
解説

物盗られ妄想はアルツハイマー型認知症に典型的な行動・心理症状(BPSD)であり、組合せとして正しいのは1である。2〜4は3疾患の特徴が互いに入れ替わっている。

認知症の鑑別は「中核症状(記憶・見当識など)」に「その疾患らしい周辺症状」を1つ結びつけて覚えると速い。アルツハイマー型は近時記憶(新しい出来事の記憶)の障害から始まるため、自分でしまった場所を思い出せず、その説明として「誰かに盗られた」という解釈が生まれる。レビー小体型は後頭葉の機能低下を背景に、実在しない人や動物がありありと見える幻視が特徴で、パーキンソニズム・認知機能の変動・レム睡眠行動異常症を伴う。脳血管性認知症は障害された血管領域に応じて能力にむらが出る(まだら認知症)ほか、感情のコントロールが効かず泣き笑いしやすい感情失禁が目立つ。前頭側頭葉変性症は前頭葉と側頭葉前方の萎縮により、脱抑制と常同行動(同じ動作・同じ道順・時刻表的生活の繰り返し)が前面に出る。

✓ 1. 正しい
アルツハイマー型認知症-物盗られ妄想
近時記憶の障害でしまい忘れが起こり、しかも「しまった」こと自体を思い出せないため、身近で世話をしてくれる家族や介護者を疑う訴えになる。もっとも頻度の高いBPSDの一つで、否定して言い争うと関係が悪化するため、訴えを受け止めたうえで一緒に探し、本人が見つけられるように促す関わりが有効である。
✗ 2. 誤り
レビー小体型認知症-同じ動作を繰り返す
同じ動作を繰り返す常同行動は前頭側頭葉変性症の特徴である。レビー小体型で押さえるべきは、具体的で反復する幻視、パーキンソニズム(動作緩慢・筋強剛・小刻み歩行)、日や時間による認知機能の変動、レム睡眠行動異常症、そして抗精神病薬への過敏性である。転倒や失神も起こしやすい。
✗ 3. 誤り
脳血管性認知症-幻視
幻視はレビー小体型の中核的な特徴である。脳血管性認知症で目立つのは、感情失禁、意欲低下・自発性の低下、できることとできないことが混在するまだら認知症、脳卒中発作ごとに段階的に悪化する階段状の経過であり、片麻痺・構音障害・嚥下障害など局所神経症状を併存することが多い。危険因子である高血圧・糖尿病・脂質異常症の管理が再発予防につながる。
✗ 4. 誤り
前頭側頭葉変性症-感情失禁
感情失禁は脳血管性認知症でよくみられる症状である。前頭側頭葉変性症では、社会的なふるまいが保てなくなる脱抑制(万引き・無遠慮な言動)、周囲への無関心、常同行動、言葉の意味が失われる意味性認知症などが前面に出て、初期には記憶が比較的保たれる点がアルツハイマー型との違いになる。行動を止めるより、安全な内容の日課に置き換える対応が現実的である。
ポイント
  • アルツハイマー型=近時記憶障害+物盗られ妄想。取り繕い反応、病識の低下も特徴。
  • レビー小体型=ありありとした幻視+パーキンソニズム+認知機能の変動+レム睡眠行動異常症。抗精神病薬に過敏。
  • 脳血管性=まだら認知症・階段状増悪+感情失禁・意欲低下。片麻痺など局所症状を伴う。
  • 前頭側頭葉変性症=脱抑制・常同行動(同じ動作を繰り返す)・無関心。初期は記憶が保たれやすい。
  • 本問の2〜4は特徴が互いに入れ替わっているので、4疾患を並べて「この症状といえばどれか」を一気に対比して覚えると確実。
比較表
認知症代表的な症状経過・その他の特徴
アルツハイマー型近時記憶障害、物盗られ妄想、見当識障害緩徐進行。取り繕い、病識低下。海馬・頭頂側頭葉の萎縮
レビー小体型具体的な幻視、パーキンソニズム、認知機能の変動レム睡眠行動異常症、自律神経症状、抗精神病薬過敏、転倒
脳血管性感情失禁、意欲低下、まだら認知症階段状に増悪。片麻痺・構音障害・嚥下障害を併存
前頭側頭葉変性症脱抑制、常同行動(同じ動作の繰り返し)、無関心初期は記憶が保たれる。言語障害(意味性認知症など)
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