学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ31P109

理由で解く 柔道整復師

QJ31P109 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問109
問題
75歳の女性。食事中に顎が閉まらなくなり来所した。半開口のままで、口の開閉はわずかに可能である。オトガイ部は左側に偏位している。患側の耳孔前方に陥凹を触知する。考えられるのはどれか。
選択肢
1 右顎関節側方脱臼
2 左顎関節側方脱臼
3 右顎関節前方脱臼
4 左顎関節前方脱臼
解答
正解3(右顎関節前方脱臼)
解説

オトガイが健側へ偏位し、患側の外耳孔前方に陥凹を触れるのは、下顎頭が下顎窩から前方へ外れたサイン。オトガイが左に振れているので患側は右、すなわち右顎関節前方脱臼である。

顎関節脱臼のほとんどは前方脱臼で、大あくび・食事・歯科治療などの大きな開口動作をきっかけに下顎頭が関節結節を越えて前上方へ滑り出し、そこで閉口筋(咬筋・側頭筋・内側翼突筋)が痙攣して戻れなくなる。片側だけ外れた場合、患側の下顎頭が前へ出た分だけ下顎全体が健側へ回旋するため、オトガイは健側を向く。同時に、下顎頭が抜けた患側の下顎窩(外耳孔のすぐ前)に指を当てると陥凹を触知できる。両側脱臼では開口位のまま固定されて閉口できず、オトガイは正中のまま下顎が前方に突出する。したがって「オトガイが偏位しているか」が片側性・両側性の見分けになり、本例の半開口でわずかに開閉可能という所見も片側性を支持する。

✓ 3. これが答え
右顎関節前方脱臼
オトガイが健側である左へ偏位し、右の外耳孔前方に陥凹を触知することから、患側は右で、下顎頭は前方へ外れている。食事という日常動作で発生した点も、外力を必要としない前方脱臼の典型に合う。
✗ 1. 答えではない
右顎関節側方脱臼
患側が右である点は所見と合うが、側方脱臼は下顎骨骨折を伴うような強い直達外力で生じるまれな型で、食事中に自然発生した本例には当てはまらない。
✗ 2. 答えではない
左顎関節側方脱臼
脱臼の型(側方)も患側(左)も所見と合わない。オトガイが左へ偏位しているということは患側は右であり、左を患側とすると偏位の向きが逆になる。
✗ 4. 答えではない
左顎関節前方脱臼
前方脱臼という型は合うが患側が逆。左が患側であればオトガイは右へ偏位し、陥凹は左の外耳孔前方に触れるはずで、本例の所見と一致しない。
ポイント
  • 顎関節脱臼は前方脱臼が大多数。開口動作で下顎頭が関節結節を越えて前上方へ滑り出す。
  • 片側前方脱臼ではオトガイが健側へ偏位し、患側の外耳孔前方に陥凹を触知する。
  • 両側前方脱臼では開口位で固定されて閉口不能、オトガイは正中で下顎が前方へ突出する。
  • 側方脱臼はまれで、下顎骨骨折を伴うような強い外力で生じる。
  • 整復は口腔内法(ヒポクラテス法)が基本。反復性・習慣性に移行しやすいので、整復後は開口制限の指導まで行う。
比較表
所見片側前方脱臼両側前方脱臼
オトガイの位置健側へ偏位正中のまま、下顎が前方突出
開口の状態半開口でわずかに開閉可能開口位で固定、閉口不能
陥凹の触知患側の外耳孔前方両側の外耳孔前方
咬合患側の咬合不全前歯部が開いて咬合不能
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