学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §20 各論(脱臼) 下肢 / QJ31P094

理由で解く 柔道整復師

QJ31P094 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問94
問題
股関節後方脱臼で正しいのはどれか。
選択肢
1 坐骨脱臼では腸骨大腿靱帯は断裂する。
2 腸骨脱臼では、下肢は屈曲外転外旋位となる。
3 腸骨脱臼では坐骨脱臼に比べ下肢の短縮が大きくなる。
4 坐骨脱臼では腸骨脱臼に比べ股関節屈曲角度は小さくなる。
解答
正解3(腸骨脱臼では坐骨脱臼に比べ下肢の短縮が大きくなる。)
解説

股関節後方脱臼は屈曲・内転・内旋位が定型。骨頭が高くまで上がる腸骨脱臼のほうが、下肢の短縮は大きくなる。

股関節屈曲位で膝から後方への外力を受けると(ダッシュボード損傷など)、骨頭が寛骨臼後縁を越えて後方へ脱臼する。このとき関節前面の強靱な腸骨大腿靱帯は破綻せずに残るため、下肢は屈曲・内転・内旋という定型的な弾発性固定肢位をとる。骨頭が腸骨翼の高さまで転位したものを腸骨脱臼(高位)、坐骨切痕付近の低い位置にとどまるものを坐骨脱臼(低位)と呼び、高く上がる腸骨脱臼ほど棘果長の短縮は大きく、股関節の屈曲角度は小さくなる。後方脱臼では坐骨神経麻痺と寛骨臼後縁骨折の合併を必ず確認し、速やかに医療機関へ紹介する。

✗ 1. 誤り
坐骨脱臼では腸骨大腿靱帯は断裂する。
後方脱臼では関節前面の腸骨大腿靱帯は保たれるのが原則である。これが残っているからこそ、屈曲・内転・内旋の定型肢位と弾発性固定が生じる。
✗ 2. 誤り
腸骨脱臼では、下肢は屈曲外転外旋位となる。
屈曲・外転・外旋位をとるのは前方脱臼のうち閉鎖孔脱臼(前下方・低位)で、恥骨脱臼(前上方・高位)は伸展・外転・外旋位となる。いずれにせよ外転・外旋位であり、内転・内旋位をとる後方脱臼(腸骨脱臼・坐骨脱臼)とは正反対である。腸骨脱臼は後方脱臼なので屈曲・内転・内旋位である。
✓ 3. 正しい
腸骨脱臼では坐骨脱臼に比べ下肢の短縮が大きくなる。
腸骨脱臼は骨頭が腸骨翼側の高い位置へ転位するため大転子は高位となり、棘果長が短縮する(下肢の短縮が大きくなる)。坐骨脱臼は骨頭が低位にとどまるので短縮は軽度である。
✗ 4. 誤り
坐骨脱臼では腸骨脱臼に比べ股関節屈曲角度は小さくなる。
逆である。骨頭が低位にとどまる坐骨脱臼のほうが股関節の屈曲角度は大きく、骨頭が高く上がる腸骨脱臼では屈曲は軽度にとどまる。
ポイント
  • 後方脱臼の定型肢位は屈曲・内転・内旋。腸骨大腿靱帯が残るためこの形になる。
  • 高位=腸骨脱臼は短縮が大きく屈曲は小さい。低位=坐骨脱臼は短縮が小さく屈曲は大きい。
  • 前方脱臼はいずれも外転・外旋位。恥骨脱臼(前上方)は伸展位、閉鎖孔脱臼(前下方)は屈曲位をとる。
  • 骨頭が高位にあるほど短縮が大きい。閉鎖孔脱臼は骨頭が下方へ落ちるため、むしろ延長を示す。
  • 合併症は坐骨神経麻痺、寛骨臼後縁骨折、後年の大腿骨頭壊死。弾発性固定を確認したら整復を試みず、速やかに医療機関へ紹介する。
比較表
骨頭の位置下肢の肢位下肢長/屈曲角度
腸骨脱臼(後方・高位)腸骨翼側の高位屈曲・内転・内旋短縮大/屈曲小
坐骨脱臼(後方・低位)坐骨切痕付近の低位屈曲・内転・内旋短縮小/屈曲大
恥骨脱臼(前方・高位)恥骨上枝付近伸展・外転・外旋短縮あり/屈曲しない
閉鎖孔脱臼(前方・低位)閉鎖孔部屈曲・外転・外旋延長/屈曲大
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