学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §18 各論(脱臼) 頭部・体幹 / QJ31P093

理由で解く 柔道整復師

QJ31P093 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問93
問題
胸鎖関節前方脱臼の症状で正しいのはどれか。
選択肢
1 不全脱臼が多い。
2 呼吸障害をきたす。
3 胸骨が前方に突出する。
4 肩関節の外転が制限される。
解答
正解4(肩関節の外転が制限される。)
解説

胸鎖関節前方脱臼では鎖骨内端が前方に突出する。上肢を挙げるたびに脱臼部が動くため、外転・挙上が制限される。

胸鎖関節は鎖骨内端と胸骨柄・第1肋軟骨がつくる関節で、上肢の挙上に伴って鎖骨が回旋・挙上する。脱臼の大多数は前方(前上方)脱臼で、関節包や肋鎖靱帯が破綻して鎖骨内端が胸骨柄の前へ乗り上げ、皮下に階段状の突出として触れる。このため肩関節の外転・挙上のたびに疼痛が誘発され運動が制限される。まれな後方脱臼では鎖骨内端が縦隔側に入り、気管・大血管・食道を圧迫して呼吸困難や嚥下障害を生じるため、疑った時点で整復を試みず直ちに医療機関へ搬送する。

✗ 1. 誤り
不全脱臼が多い。
前方脱臼では関節包・肋鎖靱帯が破綻し、鎖骨内端が胸骨柄の前へ完全に転位した状態が典型である。皮下の突出と陥凹が明瞭に触れることが多く、不全脱臼が大半を占めるわけではない。
✗ 2. 誤り
呼吸障害をきたす。
呼吸困難や嚥下障害は、鎖骨内端が後方(縦隔側)へ転位して気管や大血管を圧迫する後方脱臼で問題となる。前方脱臼では気道への圧迫は生じない。
✗ 3. 誤り
胸骨が前方に突出する。
前方に突出するのは鎖骨内端であり、胸骨は位置が変わらない基準側である。健側と左右を見比べ、鎖骨内端の高さと突出を触知して判断する。
✓ 4. 正しい
肩関節の外転が制限される。
上肢の外転・挙上には胸鎖関節での鎖骨の回旋・挙上が伴うため、脱臼していると動かすたびに疼痛が誘発され外転が制限される。患者は健側の手で患肢を支え、頭部を患側に傾ける姿勢をとることが多い。
ポイント
  • 胸鎖関節脱臼は前方(前上方)脱臼が大多数。鎖骨内端が皮下に突出する。
  • 突出するのは鎖骨内端であって胸骨ではない。左右を比べて触知する。
  • 前方脱臼→外転・挙上制限。後方脱臼→呼吸困難・嚥下障害・静脈うっ滞で緊急。
  • 整復できても保持が難しく再転位しやすいため、固定と経過観察を丁寧に行う。
  • 後方脱臼を疑ったら整復を試みず、直ちに医療機関へ搬送する。
比較表
項目前方脱臼後方脱臼
頻度大多数まれ
鎖骨内端の位置胸骨柄の前方に突出縦隔側へ陥凹
主症状外転・挙上制限、皮下の突出呼吸困難、嚥下障害、静脈うっ滞
対応整復・固定と経過観察緊急性が高く直ちに搬送
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